昨年度は株で大損の危機にあった日銀は、1年もしないうちに、すごい儲(もう)けを出している。大損と言っても儲けと言っても「評価上の話」であるが、もしこれがファンドであれば、すごい成績であり、成功報酬もガッポリもらえる。今回は、日銀が株式投資に至った経緯と当期損益の推計をし、もしこれがヘッジファンドだったらファンドマネジャはどれだけ報酬を得られるのか、興味もあって試算してみた。(トリオアセットマネジメント株式会社代表取締役 奥村 尚)
日銀が買うのは
指数連動型の上場投資信託(ETF)
冒頭、「日銀の株式投資」と書いたが、買う商品は個別株ではなく指数連動型の投資信託であり、しかも株式と同様に上場している上場投資信託(以下ETF)を買う。株式市場の値動きは当然にリアルタイムでチェックして買っている。
日銀は東証の会員ではないから、直接取引所から株式を買い入れることはできない。かといって、日銀が野村證券に口座を開いて買い付け担当者が電話で買い付けるわけでもない。日銀は三井住友信託銀行に委託していると公表している。
いろいろ信託銀行があるが、日本橋で本社が隣接しているからだろう。
しかし、信託銀行は東証の会員ではないから、やはり直に買い付けはできない。複数の証券会社を競合させ手数料の最良条件を出した証券会社を複数ピックして分散注文を出している(※著者注:日銀に電話取材して確認)。