お金持ちはどんな行動パターンと思考様式を持っているのか?
お金持ちだけが知っている、真の豊かさの正体とは!?

お金持ちがしている100の習慣』ではそのような疑問に答える「お金持ちの行動パターンと思考様式」を解き明かしています。著者は国際的に活躍するイギリスのコーチング第一人者であり、数多くのクライアントにコーチングをおこなってきました。成功者の習慣についてまとめた『成功者がしている100の習慣』は6万5000部突破のベストセラーとなっています。
本書では、その経験から導き出したお金持ちに共通する100の習慣を紹介しています。
「あなたはなぜお金持ちになりたいのか」本書のアドバイスはこの問いからはじまります。しっかりと目標設定をし、紹介されている習慣を実践することが、お金持ち、そして真の豊かさへの近道です。
この連載では、本書に紹介されている100の習慣を特別に抜粋し、お金持ちになる人、ならない人の思考や行動のパターンを解明。習慣のポイントだけでなく、どのように実践すればよいか、ワークなどをまじえ具体的な方法を紹介します。

「9割の世帯が3世代で無一文に!」子や孫が遺産を食いつぶす理由とその対策Photo: Adobe Stock

お金持ちになる人は相続前にお金の使い方を計画し、
お金持ちにならない人は遺産をまたたく間に使い果たす

「相続でお金持ちになった家は、3世代もすればまた貧乏に戻る」

多額の財産を相続した人の大半は、それを失ってしまいます。アメリカの富裕層向けコンサルティング会社、ウィリアムズ・グループの調査によれば、富裕層の世帯の7割が2世代目までに、9割が3世代目までに財産のほとんどを失っています。

宝くじに当選した人の末路もこれと似ています。当選者の大半が、にわかに手にした大金を数年以内に使い果たしてしまうのです。

何の努力もせずに手にしたお金を管理するのは簡単ではありません。そのお金を資本にして収入を得るという考えを理解できる人は、多くはないのです。とはいえ親から遺産を相続した場合なら、宝くじを当てるといった偶然の産物によって大金を手にした場合より、資産管理の大切さを理解するという意味では有利な立場にあると言えるでしょう。親が一生懸命働き、そのお金を貯めてきた姿を見てきたはずだからです。

それでも残念ながら、相続する準備ができている人はわずかしかいません。その主な理由は、親が子どもたちを信頼していない、あるいは遺産を相続させるための教育を子どもにしていないからです。そのことは、アメリカの民間銀行、USトラストが2015年に行った調査にも反映されています。

・78%の親が、自分の子どもに遺産を適切に管理してもらえる信頼がないと答えた。
・64%の親が、資産管理について子どもに何も教えていないと答えた。

世界各地に、「子どもや孫が、親や先祖から受け継いだ財産を浪費してしまった」という内容の言い伝えがあるのも当然なのかもしれません。

お金の格言
「子孫に浪費されてしまう富を築くために、一生懸命に働きたいと思う親はいない」

実践しよう

■両親から学ぶ
相続がしたいのなら、親がどのようにしてその資産をつくり、管理し、増やしているのかに関心を持ちましょう。親の資産管理の方法を観察して、わからないところは質問し、理解を深めます。不動産や株式ポートフォリオの管理方法、銀行との付き合い方、税金の問題、海外信託(オフショアトラスト)など、親がしているあらゆる資産管理に目を向けましょう。

親の資産管理を手伝い、現在の問題点を理解しましょう。重要な会合には同席しましょう。親の代わりに、銀行や証券会社、不動産会社の担当者や、税理士などと話をするのもよいでしょう。

■金融スキルを身につける
富の相続を成功させる秘訣は、正しい知識とスキルを身につけることです。「自分が何を知っているか」だけではなく、「自分が何を知らないか」についても把握できるようになりましょう。専門家の支援やアドバイスは重要です。ファイナンスや資産管理のコースを受講してみてもいいでしょう。

■相続したお金を、自分で苦労して稼いだもののように扱う
お金のリテラシーは、簡単に身につくものではありません。お金についての正しい考え方を子どもの頃から親に教わってきたので、よく考えて賢くお金を使い、無謀な投資はしないという幸運な人もいるでしょう。しかし、このような考え方が身についていない人は金融リテラシーを高め、将来、遺産を相続したときに適切にそのお金を扱うための準備をしておきましょう。

(本稿は、ナイジェル・カンバーランド著、児島修訳『お金持ちがしている100の習慣』を抜粋、再構成したものです)

ナイジェル・カンバーランド(Nigel Cumberland)
作家、リーダーシップ・コーチ
1967年、イギリスのヨーク生まれ。ケンブリッジ大学卒業。世界最大級の人材サービス会社Adeccoや世界3大ミシン糸メーカーCoats plcで財務部長を務めた。シルクロード・パートナーシップの共同創立者。ロンドンとドバイを拠点に、同社を通じて企業幹部を対象にリーダーシップ・コーチングやメンターリングをおこなう。ハーバード大学メディカル・スクール付属コーチング養成機関の創立研究員でもある。これまで香港・ドバイ・ブダペスト・サンチアゴ・上海・ドバイで暮らし働いた経験から人生で成功するヒントを得た。これまでに出版した8冊の著書は、ドイツ・中国・ポルトガル・スペイン・ロシア・チェコ・スロバキア・ルーマニア・ドバイをはじめとする中東諸国・ブラジルなどの各国で翻訳されている。『成功者がしている100の習慣』(児島修訳、ダイヤモンド社)が日本でもベストセラーになっている。
児島 修(こじま おさむ)
英日翻訳者
1970年生まれ。立命館大学文学部卒業(心理学専攻)。訳書に『成功者がしている100の習慣』『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(以上、ダイヤモンド社)、『やってのける』『自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義』(以上、大和書房)などがある。