日本の大学で学位を取得しても就職を希望する外国人留学生は3割程度にとどまっている日本の大学で学位を取得しても就職を希望する外国人留学生は3割程度にとどまっている(著者提供)

世界の留学生が持つイノベーション力に期待し、採用しようとする日本企業が増えている。しかし、肝心の外国人留学生は “就活”の段階で二の足を踏んでいる。就活に挑むグローバル新卒を支援するSPeak(本社・東京都)が行ったオンラインでの討論会からは、日本の就活が抱える矛盾が浮き彫りになった。(ジャーナリスト 姫田小夏)

外国人を“日本人と同じ物差し”で測る就活

 8月31日に行われたSPeak主催のオンライン討論会には、日本で就活をしたことがある3人のグローバル人材(*筆者注)が登壇した。ハンガリー、モンゴル、香港を出身地とする彼女たちは、日本経済が遂げた高い成長や日本文化の独自性に関心を持ち来日したという。

(*日本の大学や大学院で学んだり、海外の大学を卒業して日本で働くことを希望する優秀で高度な知識・技術を持つ人材を、本稿では「グローバル人材」と呼ぶ)

 流ちょうな日本語を使って3人が指摘したのは、「日本の就活には矛盾がある」という点だった。リクルートスーツ、髪形、持ち物、カバンまでみな統一されており、彼女たちには「まるで動物園のペンギン」のように映る。「個性を見ることを目的とした面接とは相いれないスタイルだと感じます」という意見が上がった。

 自らも渡米経験のあるSPeakの代表取締役CEO・唐橋宗三氏は、「日本の就活は世界的に見ても非常に珍しいスタイルとして受け止められています」と語るが、まさに「リクルートスーツ」がそれを象徴している。

「私たちがSPIを行うのはどういう意味があるのでしょうか?」という意見もあった。SPIとはいわゆる「適性検査」だが、応募者の能力や人物を把握する目的で、日本では9割近い企業が導入している(2020年、リクルート調べ)といわれ、ウエブ上で行われることも多い。しかし、時間制限のあるSPIの問題文を読解し回答するのは、日本語を母国語としない外国人留学生にとっては相当なハンディがある。

 唐橋氏によれば、SPIとは「就職後に必要とされるスキルとは関係性が低い“学力テスト”」であり、「新卒採用に導入している国は基本的にありません」と言う。