衰退が始まったフェイスブック、「安全よりも利益優先」の実態とはPhoto:123RF

フェイスブックに対し
超党派で規制強化へ

 米交流サイト最大手のフェイスブック(FB)のユーザー数は、傘下の写真共有アプリ「インスタグラム」やメッセージアプリ「ワッツアップ」などを含めると世界で約30億人に達するとされ、その影響力は測り知れない。

 この巨大テクノロジー企業は世界中の人々の生活に重要な役割を果たしていることは間違いないが、一方で2016年の米大統領選に介入したロシアの政治的な偽情報拡散に関与したり、インスタグラムを通じて10代の若者に悪影響を与えたりとさまざまな問題が指摘されている。

 そんななか、10月5日、同社の元従業員が連邦議会上院の公聴会で、「フェイスブックは自社の利益のために意図的に人々の怒りや分断をあおり、誤った情報を広め、若いユーザーに悪影響を与えている」と証言し、議会に対策を取るよう強く求めた。

 ワシントンには大手テクノロジー企業の強力なロビイストが数多く存在し、また、表現の自由との関連でインターネット企業の免責を一部認める法律「通信品位法(CDA)」第230条もあるため、これまで連邦議会はこの分野の規制強化には消極的だった。

 ところが公聴会での証言を受けて、民主党と共和党の議員たちは珍しく協力的な姿勢を見せ、超党派でフェイスブックへの規制強化に乗り出すと宣言した。

 規制が強化されれば、フェイスブックはこれまでのようにユーザーの怒りやヘイトをあおり、より多くのコンテンツを消費させることで利益を最大化するようなやり方はできなくなるだろう。

 最近急成長しているSNSアプリ「Tik Tok(ティックトック)」などの勢いに押されて、フェイスブックの若いユーザーは減少しているというが、連邦政府による新たな規制は同社の衰退に拍車を掛けることになるのだろうか。