FRB突然のタカ派傾斜、背後で入念な地ならしPhoto:Tom Williams/gettyimages

 米連邦準備制度理事会(FRB)はたった4週間前、慎重に市場と対話を重ねてきた資産買い入れの段階的縮小(テーパリング)計画を実行に移した。だが、来週開催する金融政策会合では、当初想定していた来年6月ではなく、来年3月の完了に前倒しする方向でテーパリングの加速を議論することになりそうだ。

 FRBはこの突然の方針転換で、インフレ抑制に向けて、来年の後半ではなく来春にも利上げを開始できる態勢が整う。パウエル議長による急転直下の政策転換は、ジョー・バイデン米大統領が再任を発表した直後のタイミングで起こった。

 パウエル氏はこれに伴い、雇用を新型コロナウイルス前の水準に戻すことよりも、インフレ抑制を重視することになる。FRBがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は今年跳ね上がっており、10月には前年同月比5%上昇した。財・サービスへの旺盛な需要に加え、経済活動再開に伴うサプライチェーン(供給網)の制約が背景にある。