世界に迫る3つの危機、試練迎える民主国家Photo:Chip Somodevilla/gettyimages

 ――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター

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 ジョー・バイデン米大統領は今週、世界の民主国家の首脳を招いた「民主主義サミット」をバーチャルで開催する。だが、民主国家を脅かす真のドラマはむしろ、世界の別の場所で繰り広げられている。

 足元では、危機を招きかねない3つの危険な事態が同時進行している。ロシアによるウクライナ侵攻リスク、中国による台湾への継続的な圧力、そしてイラン核交渉が崩壊する可能性だ。

 いずれの対立も世界の秩序を乱し、紛争拡大につながる恐れがある。こうした状況を総合すると、米国や同盟国にとっては極めて危険な局面を迎えていると言えそうだ――おそらく大方の米国民が認識している以上の危機となろう。バイデン氏と民主主義サミットに参加する世界100カ国・地域余りの首脳らにとって難しいのは、いずれの問題についても危機を誘発することなく、断固とした態度で臨む必要があることだ。

 民主主義サミットを後押ししている機運は、一段と微妙なものだ。世界は今、いずれのモデルがふさわしいかを巡り、民主主義と専制主義が覇権を争う激動の時代を迎えていると、バイデン氏は主張している。