ひきこもり人権宣言Photo:Diamond

12月23日、ひきこもり当事者らの団体が全国初となる「ひきこもり人権宣言」を発表した。その背景には、いまだに根深く残る「ひきこもる」という行為に対する偏見がある。「引き出し屋」と呼ばれる強引な手法を用いる民間支援業者と、その様子を放映するテレビなどのメディアが今も続ける、ひきこもる本人に対する人権侵害を防がなくてはならない。(ジャーナリスト 池上正樹)

入浴中にカメラが突然入ってきて撮影
ひきこもる人の人権侵害を防げ

「ひきこもり支援」を巡っては、国が来年度から予算を倍増し、地域に向けた普及啓発や、全自治体において相談窓口の周知、居場所、ネットワークづくりに力を入れる方針を示している。ところが、まだ「ひきこもり」の定義も支援目標も曖昧なままで議論が不十分なため、多くの自治体の現場は、どうしたらいいのか戸惑っているのが現実だ。

 そんな中、ひきこもり当事者らの団体が、「ひきこもり人権宣言」を作成し、12月23日に発表。「ひきこもる行為は、命と尊厳を守るために必要な自衛行為である」などとして、ひきこもりながらでも生活していける生存権を明記した。

 この人権宣言に関わったのは、ひきこもり当事者や精神保健福祉士などの専門家でつくる、暴力的「ひきこもり支援」施設問題を考える会のメンバーと、「引き出し屋」と呼ばれる民間業者による被害を受けた親子たちだ。