2012年はまれに見る政治の年だった。日米中露仏韓と世界の主要国で、政権が替わるか、新政権が発足した。それを投影して経済も不安定だった。さて、安倍新政権は、対外的には日中、日韓の関係改善という難題を抱える一方、大幅な金融緩和と財政出動を掲げてスタートを切る。政府部門はGDPの200%にも達する借金を抱え、再生は容易な道ではない。「巳年」の巳は草木の成長が極限に達して、次の生命が創られることを意味するという。果たして、日本は再生の糸口を見つけらるのか。そうした状況下、2013年を予想する上で、何がポイントになるのか。経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、5つののポイントを挙げてもらった。

景気は回復もデフレ脱却には至らず<br />公共事業拡大を巡り議論が本格化<br />――日本総合研究所理事長 高橋進氏たかはし・すすむ
1953年生まれ、76年3月一橋大学経済学部卒、4月住友銀行入行、90年日本総合研究所調査部主任研究員、96年、同調査部長/チーフエコノミスト2004年 2月同理事、05年8月内閣府政策統括官(経済財政分析担当)、07年8月日本総合研究所へ復帰、副理事長就任。11年7月より現職に就任。

①景気は回復するものの、デフレ脱却には至らず

理由:後退局面にある日本の景気は、新年は輸出の回復、景気対策、消費税引き上げ前の駆け込みなどによって回復。もっとも、企業の設備投資、個人の消費は活性化せず、民需の回復力は脆弱でデフレ脱却には至らず。民需回復のための成長戦略が必須。

②社会保障改革進展せず

理由:社会保障改革を進めるための「国民会議」での議論は、与野党のすれ違いで実質的な議論深まらず、一体改革は名ばかりに。しかし、財政健全化への取り組みを進めるため、年金制度、医療・介護制度の改革を通じた歳出抑制が改めて焦点に。