消費税率引き上げの有識者ヒアリングは、ほとんど意味のない政治パフォーマンスだ。本来行うべきは、総理が国民に消費税率引き上げの説明を丁寧に行うこと。怖いのは、引き上げを容認してもらった恩義を感じる財務省が、その後の安易なばらまき財政政策を容認せざるを得なくなることだ。

 4日間にわたって、消費税率の引き上げに関する有識者ヒアリングなるものが行われている。マスメディアの取り上げ方も力の入ったもので、あらためて消費税問題の大きさ、国民への影響が浮き彫りになった。

 政治家は、なかなか増税が決められない。「国民に苦い薬を飲ませる」ということがよほど嫌いなようだ。

 かつて橋本龍太郎総理が、法律で97年4月からの開始が決まっている消費税率の5%への引き上げを、半年前に閣議決定する際も、ぎりぎりまで判断を引き延ばしたことがある。当時決断のきっかけになったのは、リヨンサミット・日米首脳会談という外交日程であった。

 安倍総理の場合は、10月上旬に開催予定のAPECが決断のタイミングになるようだ。日本国民にとって最も重要な判断を、外交日程で決めざるを得ないということは、さびしい限りだが、これが日本の政治家の常、現実なのだろう。

政治ショーのもう一つの狙い

 しかし今回の政治ショーは、もう一つの狙いがある。それは、「消費税率の引き上げのような重要案件を決めるのは、財務省ではなく、官邸、総理自身だ」ということを国民、財務省に示したいということではないか。

 おそらく消費税率引き上げのタイミングに関して財務省は、これまで日程で勝負してきたと思われる。

 それは、中期財政計画の策定と2014年度予算編成の大枠となる概算要求基準の決定である。どちらも、消費税率の引き上げが決まっていなければ対応できない問題である。タイミングとしてはぎりぎり9月初旬で、4月~6月のGDP2次速報値の公表直後(9月9日)あたりを目指していたはずだ。