2年目のアベノミクス:
主役は「第1の矢」から「第2の矢」へ

 2014年が始まり、アベノミクスも2年目を迎える。今年のアベノミクスの役割分担としては、主役が「3本目の第2の矢」(2012年度、2013年度に次ぐ2014年度補正予算)、脇役が「2本目の第1の矢」(追加金融緩和、ただし確率は6~7割程度)となるのではないか。

「第3の矢」は6月をめどに「新成長戦略」が策定される方向にあるが、大きな役回りを演じることにはならないであろう。

成長戦略実行国会:
放たれたのは「第2.5の矢」

 このように書くと反論もありそうだ。たとえば、安倍首相は第185回臨時国会(昨年10月15日~12月8日)を「成長戦略実行国会」と名づけ、重要法案を成立させたではないかという反論だ。

 確かに同国会では「第3の矢」に関わる重要な法律がいくつか成立した(図表1参照)。中でも「国家戦略特区法」「産業競争力強化法」などは第3の矢の両輪とも言える。しかも、これらはいずれも政府提出法案であり、確かに安倍内閣の政策(すなわち「第3の矢」)である。

 一方、政府ではなく与党が主導した「議員立法」にも注目したい。代表例が「国土強靭化基本法」「南海トラフ地震対策特別措置法」「首都直下地震対策特別措置法」である。

 地震や社会インフラの老朽化への対策は確かに重要であり、国民生活の安全を高めるという意味では「第3の矢」とも解釈できる。ただし、「国土強靭化基本法」は実態としては「長期の第2の矢」(公共投資)に近いと言えないだろうか。この意味で、今回の「成長戦略実行国会」が放ったのは「第3の矢」というよりも「第2.5の矢」に近い。