あなたの住む“地域”は勝ち組か否か?勝ち組だとすれば、どの分野においてか?これは、あなたの一生を左右する重要な問いかけだ。世界の富とチャンスが一握りのメガ地域に集まる中、自分の望む成功を掴むためには、海外移住も厭わない姿勢がますます重要になると世界的に著名な都市経済学者は語る。

richard florida
Richard Florida(リチャード・フロリダ)トロント大学経営学大学院教授。経済と文化競争力に基づいた都市比較を専門とする。コロンビア大学で博士号取得。著書『クリエイティブ・クラスの世紀』『クリエイティブ資本論-新たな経済階級の台頭』(共にダイヤモンド社刊)は、新しい都市発展論として注目を集めた。新著は、理想の居住地を求める個人へのアドバイスも含めた『Who's Your City?』。

  ニューヨーク・タイムズの高名なジャーナリスト、トーマス・フリードマン氏はかねて「グローバル化は新次元に突入した」と語っている。

 (世界経済が垂直的な管理・命令の関係から、国境や会社の枠を超えた水平な共同作業の場に変化したと論じた)話題の著書は、その名も『フラット化する世界 経済の大転換と人間の未来』(日本経済新聞社刊)であった。だが、現実の世界はまだまだフラット化には程遠いと私は声を大にして反論したい。

 確かに、コンピュータやインターネット、ワイヤレスといった情報通信技術の発達、加えて製造業拠点の分散化などによって、この数十年でグローバル化は大きく前進した。中国やインド、ブラジル、ロシアといった新興経済の勃興はその分かりやすい果実だろう。

 だが今起きていることは、フラット化に相反する現象、つまりグローバル化に取り残された地域が世界各地で次々と生まれていることである。私から見れば、グローバリゼーションの本質とはフラット化に伴う新興国経済の勃興ではなく、新興国や先進国の別を問わず、世界で勝ち組地域と負け組地域への分類が急速に進んでいる点にある。

 要するに、一握りの地域だけがピーク(頂)に持ち上げられ、残された地域との差がどんどん広がっているのだ。

世界経済に君臨する
40のメガ地域

 そうした頂を成す「メガ地域」は現在、世界に40ほどある。

 ボストン・ニューヨーク・ワシントン地域、シリコンバレー、アムステルダム、ブリュッセル、アントワープ、リヨン、フランクフルト、シュトゥットガルト、バルセロナ、ソウル、大阪・名古屋地域、東京などがそれだ。世界に191の国があることを思うと、40という数はかなり少ない。

 メガ地域は、世界人口の18%を占めているにすぎないのに、世界経済の3分の2を担い、世界のイノベーションの85%を起こしている。ボストン・ニューヨーク・ワシントン地域および東京は合わせて5000万人の人口を抱え、2兆ドル相当の経済規模を持つ。