職場で若手育成に主体的に取り組む存在として期待されているのがミドル・マネジャー。多くはプレイング・マネジャーとして「数字」を上げることを責務として負わされ、そのハードルをクリアしたうえで、さらに人を育てろというわけです。今回は、若くして課長に抜擢された新任課長に話を聞きました。(ダイヤモンド社人材開発事業部副部長・間杉俊彦)

年上の部下も少なくない
多様な人員構成

 タナカくんは28歳。大手情報関連企業でサイバー系ビジネスに携わっています。

 私はあるきっかけで大学生だったタナカくんと知り合い、以後、社会人になった彼と長い交流が続いています。

 WEBをはじめとする新しいテクノロジーに詳しく、それをビジネスに結び付けていくタナカくんの能力は、石器時代のようなリテラシーの持ち主である私にはまぶしいばかり。いつでも彼の話は刺激的で、さまざまなヒントを与えてくれます。

 そのタナカくんが、昨年めでたくマネジャー職に抜擢され、20人ほどの部下を抱える立場になりました。

 「まあ、なかなか大変ですよ」。タナカくんに話を聞いたのは、ちょうど新任マネジャー研修を終えたばかりのことでした。

 割と早い年次で、責任ある立場が任されることの多いその会社でも、入社6年目でマネジャーに昇格するのは、かなりのスピードです。

 「間杉さんが連載で書かれたように、職場が複雑化していることを背景に、会社はマネジャー層の研修をかなり手厚くしているんです」

 『職場の複雑化』というのは、年次の複雑化、つまり年上の部下も少なくないという環境のこと。さらに、転職者や外国人もいるというバックグラウンドの複雑化。また、派遣、アルバイト、業務委託、時短勤務の女性社員もいて、ダイバーシティの観点も含めた雇用形態の複雑化。そして、マネジメント環境の複雑化、つまりISOやプライバシー・マーク、勤務時間管理など、マネジャーとして仕事の前提とするべき指標や達成するべき前提条件の多層化。