定員充足率が100%を超えた「元女子大」

 では、共学化した「元女子大」は、男子学生の入学によって「定員割れ」を解消できたのだろうか。次のページの図表2は、21~25年度に共学化した各大学の入学定員充足率の推移(共学化前年度、共学化初年度、25年度)である。

 この期間に共学化した大学のうち、25年度時点で定員充足率が100%を超えた大学は、柴田学園(旧東北女子)、神戸親和(旧神戸親和女子)、清泉(旧清泉女学院)、名古屋葵(旧名古屋女子)の4大学だった。ただし、充足率改善の内容と理由は、それぞれで異なっている。

 柴田学園は、共学化初年度こそ充足率は共学化前年度比8ポイントの改善にとどまったものの、3年目の25年度には、充足率が100%を超える「経年改善」パターンだった。男女比率(入学者数比)は、男27:女73と女性が70%以上を占める。

 これは、女子大にしかない「家政学部」の学部名を「生活創生学部」に改称した影響というよりも、共学化によって「女子大を厭う女子」が受けやすくなった結果と考えるべきだろう。

 対して、神戸親和は、共学化初年度からで充足率が120%を超える「即効」パターン。25年度は130%に迫る勢いだった。男女比もほぼ半々で、男子学生の獲得にも成果を上げていることが分かる。

 同大学の場合は、共学化直前に「発達教育学部」を「教育学部」に、「ジュニアスポーツ教育学科」を「スポーツ教育学科」に改組したことが功を奏した。神戸市内には教育系の競合校が少なく、「スタンダードな教育学部」に対するニーズを掘り起こした格好だ。

 25年度に共学化した清泉と名古屋葵は、いずれも共学化前年度の70%台から共学化初年度には110%台への改善を見ており、「男子学生比率10%台」という点でも共通している。

 異なるのは、清泉が入学定員を共学化前年度の176人から、共学化初年度は216人まで増やしたのに対し、名古屋葵は、同560人を同440人に減らした上での100%超えだった。

 大小さまざまな規模の競合大学、あるいは、全国区の知名度を誇る人気大学が密集する「名古屋」に対し、清泉がある「長野」はそもそも大学数が限られる。入学定員を減らして定員割れ防止を優先するのか、共学化を機に大学規模の拡大を図るのか、両大学の立地が戦略を分けたと考えられる。