「入学定員占有率」と「充足率」のアンバランス

 女子大を巡るこの数年の改革の動きは、少子化や女子受験生の総合大学進学志向などによる「女子大離れ」で、一くくりに語られることが多い。しかし、本当に“女子大だから”敬遠されるのだろうか。複数の女子大の内情に触れてきた筆者には、大いに疑問の余地が残る。

 本連載では、第9回でもこの論点に触れた。そこでは、「共学・男女別学を問わず、単科、あるいは学部の少ない『小規模大学』は、そもそも受験生の選択肢が少ないという時点で、学生募集に苦戦を強いられやすい」と結論付けた。

 つまり、必ずしも“女子大だから”学生が集まらないのではなく、むしろ、女子大の大半は“規模が小さな大学”であることが問題であり、小規模な大学ほど、学生が自校を選ぶメリットを的確に発信することが肝要と指摘した。

 今回は、大学の規模に加え、女子大が定員割れを起こしやすい他の要因としての「設置学部の構成」、そして、共学化した「元女子大」の定員充足率の改善状況などを、豊島継男事務所の調査結果から改めて検証してみたい。

 次のページの図表1-1は、大学規模別の「主な学部系統別の入学定員占有率」および、「充足率」をまとめたものだ。

 前者は、入学年次全体の定員のうち、各系統の学部が占める定員の割合を指す。私立大学全体(※1)では、「社会科学」「人文科学」「理/理工/工/農」系統学部の割合がそれぞれ2桁台を占め、女子大学を除く収容定員1万人以上の大規模大学ほど、その割合が高いことが分かる。

 対して私立女子大学は、33.3%を占める「人文科学」系統学部の次に「生活科学/家政」が23.3%と高い割合を占め、「社会科学」は11.7%、「理/理工/工/農」は1.4%と、女子大学を除く大学との間に大きな隔たりが見られる。

 ここで明らかなように、問題は、入学定員の多い「人文科学」「生活科学/家政」「社会科学」の3系統学部が、いずれも定員充足率100%以下であることだ。

 この構造は、収容定員が1000~5000人と、1000人未満の女子大学を除く中小規模大学と類似している。女子大学を除く中小規模大学の場合は、「生活科学/家政」「理/理工/工/農」に代わって「看護/医療」系統学部の入学定員占有率が非常に高いものの、定員充足率はやはり100%を切る。

 私立女子大学(※2)の69%は収容定員1000~5000人の中規模、15%は1000人未満の小規模大学であり、5000人以上の大規模大学は16%のみ。つまり、8割以上は中小規模の大学だ(図表1-2)。

 大人数を収容できる学部の入学者が定員に満たないがゆえに、全校的な定員割れが起こりやすいという構造は、共学・男女別学を問わず、中小規模の大学が抱える共通の課題といえるだろう。

 なお、先頃公表された日本私立学校振興・共済事業団の調査結果(※3)によれば、私立大学全体の入学定員充足率は102.74%と25年度より1.13ポイント増加したものの、収容定員4000人未満の充足率は98.55%と5年連続で定員割れが続いている。

※1 私立大学の総数は、2025年度調査対象の584校(大学院大学院除く)とする
※2 私立女子大学の総数は、2026年度に学生募集実績があった61校とする
※3 令和8(2026)年度 私立大学・短期大学等入学志願動向(日本私立学校振興・共済事業団)