学校改革で浮上した付属校の世代交代
私立中高一貫校の校長の任期は一般に、1期2年から4年で、定年は65歳から70歳という例が多い。系列に大学を持つ首都圏の私立中高一貫校は意外と多くある。前回に続き、まずは付属校や系属校の新校長人事から見ていこう。
東洋大学京北(東京・文京区)は近年、人気が上昇している学校の一つだ。卒業生の約半数が東洋大学に進み、残りが他大学進学を目指す半付属校的な進学校である。日比谷高校の元校長で2012年に就任した石坂康倫氏から、副校長の星野純一郎氏に交代した。
武蔵野大学は元女子大で、その付属校も女子校だったが、いずれも共学化したことは以前の連載でも触れている。この春、中村好孝氏が新校長に就いた。浄土真宗本願寺派の龍谷大学系列の中高の改革に奔走してきたキャリアの持ち主で、前職は岡山龍谷高校の副校長である。
前身となる武蔵野女子学院の共学化を成し遂げた前校長の日野田直彦氏は、兼任している武蔵野大学附属千代田高等学院(東京・千代田区)の校長にとどまる。同じ敷地内には、2022年に改めて募集を開始する武蔵野大学附属千代田国際(東京・千代田区)がある。再びその手腕を振るうことになるのか、注目される。
日本大学の系列校には、大学と学校法人を同じくする正付属校と、別法人の特別付属校、準付属校がある。2019年から校名を改めて日大系列入りした準付属校の目黒日本大学(東京・目黒区)は、前身の日出学園の頃とはイメージがだいぶ変わり、人気の付属校の仲間入りを果たしている。新たに校長となった南尊雄氏は、日本大学明誠高校教頭、日本大学東北高校校長を経て、本校に赴任してきた。大学本部主導の色彩が強そうだ。
山脇学園(東京・港区)は、武蔵の12代校長である山崎元男氏を2017年に校長に迎えている。2009年から取り組んできた「山脇ルネサンス」が功を奏し、進学実績を高進させたことで、2021年入試では大人気校となった。今回、定年を機に校長が交代し、広報室長などを務めてきた西川史子氏に後を託すことになった。旧短大のスペースも中高に充てられており、都心の学校としてはスペースがゆったりしていることにも特徴がある。
明治大学には、大学と学校法人を同じくする共学校の明治大学付属明治(東京・調布市)と学校法人中野学園の男子校である明治大学付属中野(東京・中野区)、共学校である明治大学付属中野八王子(東京・八王子市)という3つの系列校がある。このうち、明大付属中野では、2020年11月に、前校長である大渡正士氏の7年半に及ぶ任期の後を受け継ぐ形で、教頭の清水孝氏が第12代校長に就任している。
日本最大規模の女子校である大妻学園では、熊谷昌子氏が大妻多摩(東京・多摩市)の新校長に就任した。保健体育を担当、開校2年目から在籍している同校の生き字引的存在だ。ダンスの分野では有名な先生である。同大系列校の中では、大妻(東京・千代田区)の成島由美氏とともに残る女性の校長でもある。
他大学受験も盛んで、半付属校的な進学校の成蹊(東京・武蔵野市)では、同校OGである中高校長の跡部清(さやか)氏が成蹊小学校長に異動した。新たに品川女子学院から仙田直人氏を校長に迎えている。仙田氏も成蹊のOBで日本史の教員。都立三鷹中等教育学校の校長から品川女子学院に転じて4年間校長を務めた。押しの強いタイプである。