財務省が2009年6月4日に発表した09年1~3月期の法人企業統計は、日本企業が極めて厳しい状況に直面していることを示している(以下の計数は、金融機関を除く全産業についてのもの。季節調整済み)。

 まず、売上高の対前年同期増加率は20.4%減で、過去最大の落ち込みとなった。製造業では31.4%減となった。

 経常利益の対前年同期増加率は69.0%減で、第1次石油危機時の1974年10~12月期(64.5%)を上回る過去最悪の落ち込みとなった。減益は7期連続となる。製造業では、141.7%減となった。

 売上高経常利益率は1.4%となった。製造業は-2.7%だ。

 売上高の減少率より利益の減少率が大きいことが重要だ。売上が減少して、操業率がある限界から低下すると、利益が急減することがわかる。

 設備投資額の増加率は25.3%減で、8期連続でマイナスとなった。国内総生産(GDP)を推計する基礎となるソフトウェアを除いた設備投資額は同25.4%減の11兆5871億円となり、季節調整して前期と比べると8.6%減少した(5月20日に発表されたGDP速報では民間設備投資名目季節調整値の対前期比伸びは-11.2%だったが、6月11日に発表予定の第2次速報では、上方修正される可能性がある)。

 以上で見た売上高、経常利益、設備投資のすべてが、比較可能な1955年以来最大の減少率となった。

 経常利益の時系列推移は、【図表1】に示すとおりである。

【図表1】経常利益の推移
資料:財務省

 08年10~12月期における落ち込みに比べれば、09年1~3月期における対前期比の落ち込みは緩和されている。ただし、製造業が赤字に転落したことが重要だ。自動車など輸送用機械や情報通信機械をはじめ、食料品を除く全業種で赤字だった。製造業の経常損益が赤字になるのは、初めての事態だ。