田村耕太郎
第35回
ロシアでソビエト連邦崩壊時以来と言われる規模のデモが広がっている。それでもまだ今の時点では、プーチン帝国はびくともしないだろう。しかしその帝国は、前回プーチンが大統領だった時のものとは大きく違った様相を呈することとなろう。

第34回
欧州財政危機の深刻化とそれへの対応は一進一退だ。危機は深刻なステージに昇華しようとしている。財政がユーロ圏を崩壊するのを防ぐ目途はたったものの、目途が立ったが故に、今度は政治がユーロ圏を壊すかもしれないのだ。

第33回
世界中をめぐり、日本に帰国後感じているのは、本当にもったいないという思いだ。日本という国や日本人は潜在能力にあふれている。それなのに日本人は自虐的すぎる。客観的に見て、日本の国力はずば抜けている。ほんのちょっとだけ足りないのは「開き直り」だと思う。

第32回
日本に帰国して、グロービス社主催の「トコトン議論2:TPP編」に参加した。交渉にすら参加すべきでないとの立場の人々の議論がなかなか理解できなかった。「現状放置」が、窮地に陥っている日本の農業や医療制度にとってベストな選択肢であろうか?

第31回
日本では、中途半端な専門知識しか持たず、グローバルでもない、つぶしのきかない人たちが力を持っている。彼らはデフレ下で自分たちに大したことができないことを知っている。

第30回
日本の組閣は難しいのだ。極論をすれば、組閣は適材適所の政権運営をするためのものではなく、党の結束を強めるためのガス抜きである。一方、大統領制を採用する国はどうであろうか?今回は隣国であるアメリカと韓国の事例を見てみよう。

第29回
今回はいかに日本が世界から高く評価され愛されているかについて語りたい。これは私が1年近く日本を離れ、世界各地から日本を客観視した冷静な感想であり分析である。

第28回
またもや総理の交代だ。次の人物にもリーダーシップは期待できない。それは個人の資質だけの問題ではない。何党が政権をとろうが、首相になるためには、たくさんの政治家の支援と引き換えにいろいろな約束をしなければならないからだ。

第27回
少し気が早いが来年、2012年の話をしよう。来年は激動の年だ。国家のリーダーが一斉に交代する可能性がある稀有な年なのだ。何事も備えあれば憂いなし。逆算して準備することが大事だ。

第26回
アメリカでは、政府が政策立案を独占しない。“政府が使える政策”を考え抜くプロ集団に任せるのだ。日本では、政策の実施、国会対策、政策立案まで整理されずにぐちゃぐちゃに霞が関が独占してやっている。だから官僚が生産性の低いまま擦り切れる。

第25回
注目すべきは欧州だ。アメリカではない。欧州といっても、暴動が起きているロンドンではなく、最も恐ろしい危機を迎えている大陸欧州である。

第24回
欧米の財政危機が、世界の外交安全保障の地図を大きく塗り替えようとしている。主役は欧州再建の泥をかぶらなければならないドイツと、この機に欧州に恩を売りたい中国。両国は急速に近づき、米国の神経を逆なでしている。

第23回
久しぶりに一時帰国した。そこで感じたのは、日本全体が逆プラシーボ効果にかかっているのではないかということだ。毒薬でない錠剤を「毒薬」と偽って投与すると人間はその思い込みで死ぬことがある。多くの日本人が「ダメだ」と思っていたら、日本全体が本当にダメになってしまう。

第22回
米国の債務上限引き上げ協議の紛糾を受けて、日本では、米国破綻かと騒ぐ人たちが増えているようだが、そのようなことを心配する暇があったら、別のことに注意したほうがいい。それは、欧米首脳から敵視された格付け会社が正確な格付けを出せなくなる恐れだ。

第21回
なでしこジャパンを祝福し、誇りに思うのは当然で、そういう論評は枚挙に暇がないであろう。しかし、筆者はせっかく海外にいるので、違う視点で今回は書いてみたい。それはアメリカのフェアネスの精神だ。

第20回
日本人は強いリーダーを求めているとよく言われるが、果たして本当なのか。我々はわざわざ弱いリーダーを選んでいないか。米国を代表する日本研究者のエズラ・ヴォーゲル教授はそう問題提起する。

第19回
日本のビジネス界ではTOEIC人気が急上昇だ。しかし、アメリカではTOEICを知っている人は皆無に近い。私は日本人の英語力不足の根源にはTOEIC問題があるのではないかと思う。TOEIC志向を変えるか、TOEICの内容を変えるか、どちらかを実行しないと日本のガラパゴス化がさらに進んでしまう。

第18回
震災や原発事故の影響もあってか、自国の競争力を過小評価する日本人の自虐性はさらに高まっているようだ。しかし、彼の言葉を聞けば、そんな暗さも吹き飛ぶだろう。シリコンバレーで今最もホットなベンチャー、エバーノートを率いるフィル・リービン氏と話す機会を得た。

第17回
ハーバード大学で日本救済のイベントが続いている。先週は、白熱教室で有名なマイケル・サンデル教授が講演。震災以降の生き方について参加者との白熱議論が行われたほか、教授からは最大で9万人の命を奪ったといわれる18世紀のリスボン大震災の教訓について話があった。

第16回
日本では今、震災や原発事故に対する政府や東電の対応に批判が集中しているが、危機管理の課題はじつは世界共通のものが多い。米国では「危機は必ず起こり、それは組織間対立で深刻化し、最後に介入してくる政治家が最悪にする」との前提で議論と分析をスタートさせる。
