柴田 高
第13回
目の前で人が倒れたなら反射的に行動できるが、新幹線のアナウンスなどで放送されると大脳を介して、どう行動するか判断するのに時間がかかってしまう。「見てみぬ振り」は許されないのが医療人である。

第12回
肉体はもうこの世にはない患者さんの〝気〝が、まだ病室や病棟に余韻として残っている。亡くなられた方に対してご冥福を祈ることも、医療現場では大切なことである。

第11回
小学生のころ、何か変なものを食べたときやお腹の調子が悪いときは、いつも正露丸を飲まされた。子どもながら私も、正露丸はよく効く薬だなと感心していた。

第10回
私の息子はそれほど太っているわけでもないのに脂肪肝と診断され、父親の悪い遺伝子をもらったといわれてしまった。かつて私も父親の手術に立ち会った直後、体調を崩して大入院し、脂肪肝を指摘された。

第9回
今年4月に発生した弱毒型新型インフルエンザが、強毒型H5N1鳥イフルエンザの感染豚の体内で交雑すると、新型としてH5N1のインフルエンザが発生。途上国の人びとが大打撃を受け、地球人口が減少に転じるという。

第8回
最近、知人が突然の腹痛で大病院へ入院し、CT検査で腹膜炎と診断され、緊急の試験開腹手術を受けた。その話を聞いて、T病院の外科部長時代のことを思い出した。

第7回
飛まつや空気を介するウイルス感染症は、最前線に立たれる人々の体を簡単に襲う。今、新型インフルエンザに立ち向かう人々に対しては特別の思いを持たずにはいられない。

第6回
大学外科医局に入局して10日目のこと、術後患者さんの造影検査を見学していたとき、医局長がやってきた。「今年から1人S救命救急センターへ行ってもらいます。希望する人はいませんか」。

第5回
新米医師時代、「名医の卵」などと呼ばれ、職場でやさしく、大切に育てられた。医療に従事することは厳しく、大変なことが多い。“やさしさの連鎖”こそが、医療現場に求められているのではないかと思う。

第4回
外科医は命にかかわる病状をもつ患者さんと向き合うことが多い。生と死のはざまで、仕事をするが日常だ。つい自分自身の死について自問自答している。あの特別の思い出とともに。

第3回
大学卒業後、私は外科の医局に入局し、数年の初期臨床研修ののち、大学の研究室に配属された。配属された教室は今回のタイトルに出てくる「セカンドアタック・セオリー」を発表したO先生の教室だった。

第2回
患者さんごとの“起承転結”は一週間単位で構成されていると言っても過言ではないくらいスピーディかつ明白。外科医の仕事に「決断の先送り」は不可能なのだ。

第1回
いつもの2倍以上時間をかけ、とにかく丁寧に手洗いをした。しかし、「手洗いの細菌検査で出ましたよ。先生の指3本から細菌が出ていますよ。しっかり洗っていますか」と看護師長に厳しく注意されたのです。
