
佐高 信
第6回
「金集めと票集めは嫌いだが、できる範囲で相談には乗る。人に縛られるのも、人を縛るのも嫌い。ごまかしは嫌い。みんなの顔色をうかがっていたら、自分がなくなってしまう。自分をなくしてまで政治家をやる必要があるのか」と言明してきた小泉純一郎は、よかれ悪しかれその発言と行動が一致している数少ない政治家だった。

第5回
五木ひろしの『よこはま・たそがれ』、中条きよしの『うそ』といった数々のヒット歌謡の作詞を手掛け、『演歌の虫』と『老梅』で直木賞を受賞。そして、銀座のクラブ「姫」のママとして、一流の男たちに慕われた山口洋子の「いい男」論を紹介したい。

第4回
1991年春、千葉の幕張で開かれた世界卓球選手権大会に、前代未聞の韓国・北朝鮮の「統一コリア」チームが出現した。韓国に20回、北朝鮮に15回も足を運んでこの奇跡を実現した荻村伊智朗は、卓球の世界チャンピオンに輝いたこともある天才的なリーダーだった。

第3回
国民全員に背番号を振って監視する住民基本台帳ネットワークが作られた2002年、櫻井よしこは、言論の自由の危機を感じ、猛然と反対運動をおこした。そして、私に共闘を要請してきた。当時、私は櫻井を痛烈に批判していたが、櫻井の誘いに私は乗ることになる。仇敵をも惹きつける不思議な魅力を持った人だった。

第2回
菅原文太に可愛がられ渡瀬恒彦に慕われた悪役俳優成田三樹夫は、歯に衣着せぬ放言の一方で、人間に対する深い洞察と独自の哲学、そして、自分は無益だという劣等感を併せ持つ魅力的な俳優だった。その生き様は、反逆とニヒリズムの役者、嵐寛寿郎の系譜を継いでいたかのようだ。

第1回
1994年当時、下野した自民党が政権復帰を狙い、それまで敵対していた社会党の委員長をかついだ。村山富一その人である。自民党の猛者連中も村山に惚れた。首相になった村山は「この内閣でなければ」として、歴史に残る「村山談話」を出すことになる。
