
大久保琢史
日銀は7月30日、金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決定。しかし黒田総裁は、「これまでは『モメンタムが損なわれた場合には緩和』と発言していたが、これからは『モメンタムが損なわれる前に緩和』へ変化した」と強調した。また同総裁は、マイナス金利の深掘りも選択肢の1つであると明言。日銀が追加緩和に踏み切る日は遠くないと考えられ、政策金利の引き下げが、日銀に残された追加緩和の手段として有力だ。

6月の日米両国の中央銀行の動きは対照的。米FRBが早ければ7月の利下げを示唆する一方、日銀は景気判断を据え置くなど、先行き不透明感の強い発表内容となった。為替市場では、日米の金融政策の方向性のギャップを円高材料とみなした。7月の為替市場は、日銀が本当に金融政策を維持する姿勢を貫けるかを試す催促相場となり、円高が進んでいく展開が予想される。

先日発表された1-3月期GDPによれば、日本経済は前期比0.5%のプラス成長となった。しかし、日本経済に不安要因は多く、2019年内にも景気後退に陥る可能性が高まっている。そんななか、すでに「できることが少ない」と言われる日銀が取るべき金融政策とは。

日本銀行は先日の金融政策決定会合で、政策金利に関する見通しを、従来の「当分の間」というあいまいな表現から、「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで」と時期を明確化し、「現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」とした。しかし、これらの措置を「追加緩和」と位置付けていないようだ。
