「大学3年生の息子。まだ就活をしている様子がありません。どう声をかけたらいいんでしょうか」
『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別な経歴や夢がなかった“普通の就活生”である著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分に合った就活メソッドを築き上げ、食品大手を含む22社から内定を獲得した実体験をもとにした、どんな学生でも内定に近づく一冊です。「自己PRで話せることがない」「インターンに参加していない」といった就活に不安を抱く学生と、そっと背中を押したい保護者に読んでほしい就活戦略が満載です。今回は、就活生と親の関わり方について著者である「就活マン」こと藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。
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なかなか就活をしないのは実は自然なこと
就活ブログを8年運営する中で、親御さんから「大学3年生の息子が就活をなかなか始めません。どう声をかけたらいいんでしょうか」といった声をいただくことがあります。
多くの場合、「うちの息子はやる気がなくて…」とネガティブに語られるのですが、それに対して僕はこう答えます。
「人間、やる気が出ないのは当たり前ですよ!」と。
原始時代を考えてみましょう。人間は省エネでいるほうがエネルギー消費を抑えられ、生存率が高まりました。つまり、本当に必要だと感じた行動しか起こさないのが人間の本能なんです。
だからこそ、就活を始めないのは「本人がまだ本当に必要だと思っていないだけ」。
まずは「行動しないのは自然なこと」と受け止めて寄り添う姿勢が大切です。
子どもの就活へのやる気を引き出す方法
例えば、こう言われたらどうでしょうか。
「道端に生えている雑草を抜いてください」
多くの人は動かないはずです。
けれど、これに「30分作業してくれたら1万円差し上げます」と条件がつけばどうでしょう。おそらく多くの人が雑草を抜き始めるはずです。
人が行動するためには「動機」が欠かせません。教育がうまい親は「勉強しなさい」と叱るのではなく、勉強するとどんな未来があるかを見せるのが得意です。
就活も同じです。「就活しなさい」だけでは人は動きません。就活に取り組むとどんなメリットがあるのかを本人が理解することが重要なんです。
具体的には「企業選びの軸」について一緒に考えてみるのがおすすめです。軸とは、企業を選ぶ際に欠かせない条件のこと。
例えば、僕が就活生だった頃の軸の一つは「年間休日120日以上」。
1年で休日が130日あるか、100日しかないかで生活の質は大きく変わります。この軸を設定するだけで「休みが多い会社に入りたいから就活を頑張ろう」と気持ちが前向きになるかもしれません。
ちなみに、軸の作り方に正解はありません。
もし良い方法が見つからない場合は、拙書『脇役さんの就活攻略書』にて3ステップで取り組めるワークを紹介しているので参考にしてみてください。
やるべきことを見える化する
僕自身は大学1年生から就活を研究し始めました。きっかけは「就活なら東大生よりも評価されるかもしれない」という気付きと、母子家庭で「大手に入って安定した生活を送りたい」という思いからです。
これは偶然、自分で強い動機を持てたからでした。
ただ、まだ動機づけができていない人でも「企業選びの軸」を設定するだけで、「この軸を満たす会社に入りたいから頑張ろう」と思えるようになります。
一方で、軸がなく「どこでもいい」と考えている人は、今の売り手市場ではなかなか腰が上がりません。
そして、動機づけができたら次に必要なのは「やることの見える化」です。
さきほどの雑草の例で言えば、「雑草を抜いてください」と言われても、目の前に雑草がなければ動けません。
ですが「右に進んで突き当たりを曲がった道端に雑草があるから、それを抜いてください」と具体的に指示されれば行動できます。
就活も同じで、やるべきことの手順が明確になっていないと動けません。自己分析やエントリーシートの記入、面接準備など、何から始めたらいいのかを調べます。
やるべきことの手順は就活本がわかりやすいので、書店で読みやすいと思う就活本を買ってお子さんにそれとなく渡してみるのがおすすめです。








