笹川亜紀子
ポストコロナ時代の成長を促す原動力として、「グリーン化」と「デジタル化」が推し進められている。気候変動への対応を成長の機会と捉え、カーボンニュートラルの実現を目指すグリーン化の促進と、情報通信技術(ICT)やAIなどの技術を駆使したデジタル化の取り組みが広がっている。

水素は元素の中で最も軽く、無色・無臭の気体である。水素は今から約250年前、英国の化学者によって発見された。以来、気球や飛行船の浮揚用ガス、肥料の原料として用いられるアンモニアの合成、石油製品の精製や油脂の製造など、幅広く利用されてきた。そして今、脱炭素の潮流の中で、水素がカーボンニュートラル社会を実現するために不可欠なエネルギーとして脚光を浴びている。

脱炭素の社会的要請を追い風に、洋上風力発電への期待が高まっている。2050年までにカーボンニュートラルを実現する方針の下、日本政府が定めた「グリーン成長戦略」において、洋上風力発電の導入容量を30年までに10ギガワット、40年までに30~45ギガワットまで拡大する目標が掲げられた。再生可能エネルギー(再エネ)主力電源化に向けた切り札である。

菅義偉首相は昨年10月、所信表明演説でグリーン社会の実現に注力する方針を示し、2050年までの「カーボンニュートラル」達成を宣言した。背景には国際的な脱炭素化の潮流がある。カーボンニュートラルをどのように実現するのか。
