田中美蘭
最近、相次いで社会的弱者が自ら命を絶つという事件が起き、韓国社会に悲しみを与えている。韓国社会では、古くからの儒教精神に基づいて「家族のつながりが深い」「親族で助け合うのが当たり前」といった家族との結び付きが強調されてきた。しかし今回起きた2つの自死事件をきっかけに、韓国の美徳とされていた「家族、親族の絆」は、実は上辺だけのものなのではないかという議論が起きている。そしてどちらも、日本でも起こりそうな事件なのだ。

主にスマートフォンで読むことを想定した、韓国生まれの縦スクロールのデジタルマンガ「ウェブトゥーン」が、韓国を飛び出して、日本を含む世界で成功している。米国で大きな賞を受賞したり、ウェブトゥーンを原作とする人気ドラマが世界中で配信されたりしているのだ。このウェブトゥーンの台頭は、何を意味しているのだろうか。日本のマンガにはなかった、成功のポイントとは?

日本では消費者物価指数が10カ月連続で上昇、「物価高」が長らく話題になっているが、お隣・韓国では日本以上に急激な物価上昇が問題になっている。韓国の外食費は安いとされてきたが、いまやソウルでは少し前の2倍。生鮮食品の値段や不動産、公共交通機関の運賃など、さまざまなものの値段が軒並み上がり続けているのだ。

韓国第2の都市・釜山にあるロッテデパートが6月1日に突然営業中断し、閉店の危機だと報じられた。韓国を代表する企業の一つであるロッテグループの、しかもデパートが閉店危機とは、いったい何が起こっているのか。その背景を探ると、ロッテ側のお粗末で杜撰(ずさん)な対応が明らかになったのである。

世界が新型コロナによる混乱に翻弄されて、約2年半が過ぎようとしている。ここにきて、世界各国で制限を緩和しコロナ前への生活へと転換させる動きが活発になってきた。韓国では、日本との行き来がコロナ前のように自由にできることを願う声が高まっている。

韓国在住の筆者が久しぶりに日本に一時帰国して驚いたのは、日本で食べられる韓国料理の種類が増えたことと、スーパーで容易に韓国食材が購入できるようになっていたことだった。確かに韓国の食の品質は大きく向上してきているが、看過できない根深い問題も抱えている。

朝のラッシュアワー時に障がい者団体がデモを行い、ソウルの地下鉄でホームや停車車内で車いすを降りて抗議活動を行ったことが物議を醸した。韓国では5月10日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任、新体制がスタートしている。これまで文在寅(ムン・ジェイン)政権下で庇護されてきた市民団体は、これからどうなるのだろうか。
