主にスマートフォンで読むことを想定した、韓国生まれの縦スクロールのデジタルマンガ「ウェブトゥーン」が、韓国を飛び出して、日本を含む世界で成功している。米国で大きな賞を受賞したり、ウェブトゥーンを原作とする人気ドラマが世界中で配信されたりしているのだ。このウェブトゥーンの台頭は、何を意味しているのだろうか。日本のマンガにはなかった、成功のポイントとは?(韓国在住ライター 田中美蘭)
韓国生まれ、スマホに最適化したデジタルマンガ
韓国で生まれた「ウェブトゥーン」(Webtoon)が海外でも注目と人気を集めている。ネットに掲載されているという意味の「Web」と、マンガ「Cartoon」を組み合わせたデジタルコミックのことだ。Webでの掲載という特性を生かして、作品は縦スクロール、全編カラーというのが特徴であり、コメディー、ラブストーリー、ファンタジーからアダルト物までさまざまなジャンルの作品がそろっている。日本でも「ピッコマ」や「LINEマンガ」といったアプリや作品のネット広告がひんぱんに掲載されているので、その存在を知っている人やウェブトゥーンという言葉を知らずに読んでいたという人も多いのではないだろうか。
韓国で急速にインターネットが普及し、「IT大国」と呼ばれていた2000年代初めにウェブトゥーンは登場した。当初は韓国以外では成長が見込めないものとみられていたが、スマホやタブレット端末の普及により、今では日本や米国など海外でも多くのウェブトゥーン作品が現地語に翻訳され、注目を集めるようになっている。