
古嶋十潤
DXの実務は、あらゆる経営スキルを総合的に実践しなければならない「総合格闘技」のような世界です。そのため、“DX人材“と呼ばれる担当者には、広範囲にわたる知識・技術・経験が必然的に求められます。逆に、そのような人材が不在な中でDXの実務を推進することは非常に困難となります。では、DXの実務を推進するためには、どのような人材が必要なのか。連載最終回の本稿では、DX人材の考察で多くの企業が陥っている課題に言及しつつ、要点を絞って解説します。

AIそのものを理解しただけでは、DXの実務で活用することはできません。DXの実務では、前回の第8回で解説したAIのコアとなる「予測モデル」を「機械学習システム」に実装する必要があり、そのためには多くの技術と関係者が必要です。また、その継続的な改善強化および管理・運用には、多岐にわたる知見と経験が求められます。本稿では、機械学習システムを理解するためのポイントについて、要点を絞って解説します。

DXによる経営/事業改革において、AIには非常に大きなポテンシャルが秘められていることは、もはや言及するまでもありません。しかし、その「AIそのもの」がどのように構築され、いかにして駆動しているかを理解することなしには、実務で活用しても効果が出せないどころか、経営/事業を悪化させる危険性すらあります。データ活用とAIがどのように関わっているのか、それによって経営/事業をいかに改善していくことが可能なのか、要点を絞って解説します。

DX推進においては、KPI管理だけでなく、データ活用によるシステム強化、AI開発などデータを起点とした施策創出/事業改善強化が、常に求められます。そのためには前提として、施策創出/事業改善強化のエンジンとなる、データ基盤の構築が不可欠です。今回は、データ基盤を理解/活用するためのポイントについて、要点を絞って解説します。

DXは、データ起点で経営を改革していく取り組みです。その大きな強みの一つは、あらゆる活動の効果を、定量的かつ常時計測可能な「KPI」に落とし込めることでしょう。しかし、DXの実務では従来型のKPIとは異なり、技術的観点を熟知したうえでのKPI設計・運用が求められるため、従来よりも多角的な考察が要求されます。今回の解説では、DXの実務において必要となる、KPIの設計・管理・運用方法について総論的に解説します。

DX戦略の構築後、いよいよDXの実務が推進されます。その際、留意すべきは“small start, quick win”です。小さく始め、確実に成功体験を積み上げて、徐々に大きな成果を、DXを通じて実現する。そのためには、どのようなステップアップをしていくべきか。連載5回目は、DXの難易度を左右する3つの要素に着目しながら、その方法論について解説します。

オンラインとオフラインの活動を統合して、経営ビジョンをDX化する動きが活発化しています。NTTドコモやソフトバンク、楽天などの携帯キャリアが、dポイントやPayPayポイント、楽天ポイントをフル活用する「OMO」施策などが典型例です。その成否は、経営のコンセプトとメカニズムの的確な接続にかかっています。今回はそのための「フレームワーク」を解説します。

DXの実務に取り掛かろうとすると、巻き込むメンバーや組織が広範になるため、多くの関係者と合意形成をしながら進めなければなりません。その合意形成を少しでも円滑かつ計画的に行い、無駄なコストを極小化するためにも、事前に固めるべきポイントを定めておくことが重要です。この DXの実行前に準備しておくことをしっかりとやりきる段階を、拙著『DXの実務』では Pre-DXフェイズと呼んでいます。そして、Pre-DXフェイズ後に変革を実行、推進する段階が DXフェイズです。連載第3回の今回は、この両者のフェイズについて解説します。

DXの実務では、施策ありきの活動が目立ち、本質的な課題解決から遠ざかった取り組みが絶えません。DXは、あくまで手段です。目指す姿を見定め、それを実現するための一つの手法としてDXを活用しなければなりません。連載第2回は、安易な施策導入に傾倒することなく、課題を「発見」し、その課題をいかに解決していくかに焦点を当てるべきだという点について、DXアプローチに基づきながら解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)をいかに実現し、企業価値向上に結実させるか。この課題の解決策を、技術者ではない一般のビジネスパーソン向けに著した『DXの実務』(英治出版、2022年)が好評である。副題の「戦略と技術をつなぐノウハウと企画から実装までのロードマップ」が詳述されている。企業がDXを実現するためのコンサルティングや、DX人材の育成研修を担っている著者の古嶋十潤氏が、DX実現の要諦を、連載で提示していく。
