目黒冬弥
「何だこりゃ?」3年前の2020年、コロナ禍のさなか。支店に大きな段ボール箱が届いた。宛名は預金担当課長、つまり私のことだ。段ボールを開梱すると、ノートPC1台とICカードリーダー、それと飾り付けのPOPにのぼり一式が入っていた。

私の部下に、うつによる長期離脱から見事に生還した者がいる。30代後半の独身、実家から通い、趣味は映画鑑賞というごく一般的な行員だ。温厚で真面目、丁寧、几帳面な性格で、献身的に業務を遂行すると前任店の人事評価レポートに書いてあったが、今ひとつ特徴が見えてこない。彼女は前任店でうつを発症し、復職を機にみなとみらい支店へ異動してきた。

銀行は4月に大規模な異動があるものの、小規模な異動はほぼ毎月のようにある。絶えず身の回りで人が動いている職場であり、人間関係を起因とするストレスが発生しやすい職場だと考えられる。さらに、新しい職場では、常に確認すべき書類の保管場所はどこにあるのか、金庫の開閉は誰が何時に行うのか、午後3時の閉店から怒涛のように始まる「勘定突合」の流れに違いはあるのか…あらゆることが分からない。昨日までの勝手知ったる職場のように動けないもどかしさから、ストレスが募っていく。

旧都市銀行の保養所施設は豪華だった。名だたるリゾートには必ず保養所があり、ほとんどが自前の不動産だった。関東に地盤がある都市銀行であれば、熱海、伊東、長岡、白馬といった、従業員がアクセスしやすいエリアが中心。従業員は一泊3000円程度で利用できた。まだ独身で親元から通勤していた頃、両親が驚いたのを覚えている。

メガバンク現職行員が赤裸に語る、新入行員が浴びる「先輩と生保レディーからの洗礼」とは。

新入社員。銀行業界では新入行員と呼ぶ。毎年4月、新卒の新入行員をどの銀行も多く迎える。最近はメガ3行合計でおよそ1100人を新卒採用していると聞いた。ちなみに、5年前は3行計で3200人ほどだったという。

銀行業界、とりわけ営業店における人事異動発令は、そのほとんどが突然やって来る。同じ勤務地に5年を超えて勤務する者を長期在籍者と呼び、監督官庁である金融庁に届け出をしなくてはならない。長く同じ顧客を担当していると、癒着や不正が起こる温床となるからだという。今回記すことは、私の銀行に限ったことではなく、どの銀行にも見られる風景である。銀行業界全体の「あるある話」と感じてもらえれば幸いである。

上司が10億円融資を白紙に…銀行員はつらいよ、現役メガバンク行員の赤裸々日記
地方転勤は前日に通達。ようやく取り付けた大口融資も上司の好み一つで白紙に。金融庁も厳しく批判する銀行の企業風土はこうして形成された。業界の伝統や上司の機嫌に振り回され続けた苦労の日々を、現役行員が赤裸々に語る。
