目黒冬弥
新入社員。銀行業界では新入行員と呼ぶ。毎年4月、新卒の新入行員をどの銀行も多く迎える。最近はメガ3行合計でおよそ1100人を新卒採用していると聞いた。ちなみに、5年前は3行計で3200人ほどだったという。

銀行業界、とりわけ営業店における人事異動発令は、そのほとんどが突然やって来る。同じ勤務地に5年を超えて勤務する者を長期在籍者と呼び、監督官庁である金融庁に届け出をしなくてはならない。長く同じ顧客を担当していると、癒着や不正が起こる温床となるからだという。今回記すことは、私の銀行に限ったことではなく、どの銀行にも見られる風景である。銀行業界全体の「あるある話」と感じてもらえれば幸いである。

地方転勤は前日に通達。ようやく取り付けた大口融資も上司の好み一つで白紙に。金融庁も厳しく批判する銀行の企業風土はこうして形成された。業界の伝統や上司の機嫌に振り回され続けた苦労の日々を、現役行員が赤裸々に語る。
