メガバンク行員が語る「新人研修のトホホな中身」、山あいの平屋の研修施設が実は…写真はイメージです Photo:PIXTA

入行年次を重んじる
銀行マンの感覚と文化

 新入社員。銀行業界では新入行員と呼ぶ。毎年4月、新卒の新入行員をどの銀行も多く迎える。最近はメガ3行合計でおよそ1100人を新卒採用していると聞いた。ちなみに、5年前は3行計で3200人ほどだったという。

「目黒課長の入行はいつですか?」
「私ですか?キューマルですよ」
「じゃあ、○○さんご存じですか?確か同期だと思いますけど…」

 自分が勤務するMグループは銀行のほかに証券会社もあるが、その全社員に社員番号が与えられている。社員番号の頭2桁は入社年度を表し、その後に通し番号が続く。例えば1990年入行の場合、9098765などと表す。さらに1990年入行の人を総称して「キューマル(90)」と呼ぶ。同様に2003年入行は「ゼロサン」、2017年は「イチナナ」といった具合だ。他にはこんなこともある。

「クソー!△△部の山田ってヤツ、生意気な口の利き方しやがって。コイツ、イチロク入行じゃないか。若造のくせに!」

 年上へのリスペクトが大事なのはわかる。だが、入行年次がその人を判断する軸になっていることが、なんとも煩わしい。若くても有能な人材はいくらでもいるし、無能な年寄りもやはり同じように存在する。こういう感覚や文化を変えていかない限り、社内の風通しなど良くなるわけがないのだが、変わっていくにはまだ時間がかかりそうである。