
勝沼潤
形を超えて事業を描く、ユニクロも実践する「拡張されたデザイン」で企業を持続的な成長に導く方法――武蔵野美術大学造形構想学部クリエイティブイノベーション学科教授・岩嵜博論氏インタビュー
モノに意匠を施すこと以外の「デザイナーの力」が注目されている。特に、製品開発や事業設計の上流に、デザイン行為を組み込み、これまでにない視点を生み出そうとするケースが増えている。武蔵野美術大学でビジネスデザインの研究を進める岩嵜博論教授は、ユニクロの持続的な成長を支えた、デザイナーの「ある役割」に注目している。デザイン経営を推進するCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)に必要な資質を考えるヒントについて、同教授に話を聞いた。

コクヨの社長が語る、デザインセンターのない会社がデザインで体験価値を高められる理由――コクヨ 代表執行役社長・黒田英邦氏インタビュー
デザインセンターという統括組織を持ち、その組織のリーダーがデザインと経営をつなぐ役割を担うという、デザイン経営のセオリーとは異なるアプローチによって、デザインの力を経営や体験価値づくりに活用しているのがコクヨだ。社員自らが働く人々の課題を体感することで、人中心の開発を推し進める。こうしたデザインを事業に溶け込ませる組織づくりについて、同社社長の黒田英邦氏に話を聞いた。

デザイナーならではの視点がもたらした、ハウスメーカーと顧客の新しい家造りとは――積水ハウス 業務役員・デザイン設計部長・矢野直子氏インタビュー
これまで多くのハウスメーカーは高い技術による、長寿命・高耐久の家を売りにしていた。しかし、積水ハウスは、そうした性能価値に加えて、顧客の「感性」に寄り添うことで、時間とともに愛着が感じられる家造りを提唱している。その感性価値をもたらすのが「life knit design」というデザイン思想である。営業担当から設計士、インテリアコーディネーターに至るまで、顧客の「想い」を共有できるシステムづくりにも及んだこの思想について、同社デザイン設計部長の矢野直子氏に話を聞いた。

ソニーはエンタテイメントへ、会社の10年後を描く作業になぜデザイナーがアサインされたのか――ソニーグループ クリエイティブセンター センター長・石井大輔氏インタビュー
ビジネスとデザインの関係を語る際に、ソニーの取り組みを例に挙げるのは「鉄板」ともいえる。そこで示されるデザインの多くはプロダクトであり、グラフィックだが、近年、それらとは異なる「デザインの力」がソニーのビジネスを動かしている。現在、エンタテイメントに軸足を置くソニーが描いた10年後のありたい姿「Creative Entertainment Vision」。その作業にグループのデザインを統括する組織も大きく関与した。ソニーグループのデザインを統括するクリエイティブセンターの石井大輔氏に話を聞いた。

デザインを売り込まない! 「周囲からのノック」を引き出すコミュニケーション──富士フイルム 執行役員・デザインセンター長・堀切和久氏インタビュー
デザインの力を経営に生かすには、経営層とデザイン部門の深いコミュニケーションが欠かせない。写真フィルムを祖業に、カメラ、化粧品、医療機器など、あっと驚く多事業化戦略で力強い成長を続ける富士フイルムでは、早くから、デザイナーが製品開発の上流から関わってきた。デザインセンター長であり執行役員でもある堀切和久氏に、経営とデザインをつなぐ独自のコミュニケーション哲学を聞いた。

社員の個人的な「こうしたい」を、会社全体の創造性につなげるデザインの可能性――ヤマハ発動機 執行役員・クリエイティブ本部長木下拓也氏インタビュー
デザインをビジネスの各シーンに拡張する存在として、「CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)」の役割に注目してきたが、これからは、現場でその可能性を広げようと取り組むリーダーに話を聞いていく。ヤマハ発動機では、社員一人一人の課題観によってさまざまな事業を生み出されてきた。そうした個々の主体性を、会社全体の創造性として競争優位につなげる取り組みが始まっている。同社執行役員・クリエイティブ本部長の木下拓也氏に話を聞いた。

マネーフォワードの社長が全社員に向けて話す内容をデザイナーと決めている理由――マネーフォワード代表取締役社長グループCEO・辻庸介氏インタビュー
デザインと経営をつなぐ存在として、CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の役割に注目してきたが、今回はそれを任命する立場である経営者の「期待」について考える。話を聞いたのはマネーフォワード社長の辻庸介氏。もともとデザインの感度は高くなかったと語る同氏が、デザインを経営に取り入れるようになった理由とは何か。経営者として、どのように関わるとデザインが持つ可能性を最大限に引き出せるのか、CDOの在り方を外側から浮き彫りにしていく。

CDOを企業に定着させるヒントは、過去のCクラスの歩みにあり――Takram・田川欣哉氏インタビュー
当連載ではデザインを経営に取り入れ、企業価値につなげる存在として、CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の役割について考えてきた。今回から、企業のデザインリーダー、経営者、識者へのインタビューによって、その役割を多角的な視点で捉え、その解像度を高めていく。第1回目はデザイン経営宣言の策定に中心的に関わったTakramの田川欣哉氏に、CDOが企業に定着するために、デザイン側としてどのような取り組みが求められるか、話を聞いた。

デザイン経営の推進はデザイナーでなければならないのか――CDOに必要な3つのこと
デザインを経営に取り入れるためには、CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の設置は不可欠とされている。しかし、そこで求められる役割や資質について、解像度の高い議論は進んでいない。デザインを中心としたNECの組織改革に取り組む過程で見えてきた、CDOに必要な要素について考える。

BtoBにかじを切ったNECが、デザインを経営の中枢に据えた理由
直接的にエンドユーザーとの接点を持たない企業にデザイン経営は効きにくい――。デザインの力の特性上、こうした見方が一般的だ。しかし、事業の方向性をBtoBへとかじを切ったNECは、経営戦略にブランド戦略をアラインするために、デザインを全社機能と位置付けた。なぜそのような判断を下したのか。その過程に注目すると、デザインを経営に組み込むCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の役割が見えてくる。

経営チームにデザインの責任者を参画させる意味とは
ビジネスにおいてデザインの役割が拡張している。従来の色・形の設計はもちろん、最近では新事業の創出まで、求められている範囲は広い。そこで、デザイナーや組織も変化が求められているが、その鍵を握る存在として注目されているのがCDO「チーフ・デザイン・オフィサー」だ。まだまだ社会的認知が低く、像も曖昧なこの新しい「役職」について、NEC初のCDO・勝沼潤氏が、自身の経験や識者への取材を通してその役割、可能性について解像度高く示していく。
