山家公雄
日本の脱炭素「切り札」と言われてきた洋上風力発電が、インフレなどの直撃を受け、瀕死の状態にある。さらに、三菱商事の撤退で露呈した日本の安値偏重といえる公募制度の致命的な欠陥も横たわる。このままでは、洋上風力発電プロジェクト全体が「ドミノ倒し」になりかねない。経済産業省と国土交通省は緊急で制度見直しに乗り出しているが、その成否は、価格設定という最もセンシティブな「魂」の議論にかかっている。緊急制度改革案のポイントを解説するほか、日本の洋上風力が乗り越えるべき「入札価格」について徹底分析する。

三菱商事の国内3海域での洋上風力事業からの撤退で、洋上風力発電ビジネスの将来に暗雲が垂れ込めている。「ダンピング入札」とも評された政府公募の第1ラウンドの制度設計の失敗は、第2、第3ラウンドにまで影を落とし、産業ビジョンそのものを揺るがしている。しかし世界に目を転じれば、欧州は柔軟な制度修正で市場を維持し、米国は政治リスクを抱えつつも巨大需要を背景に再エネ投資をつなぎとめている。なぜ、日本が「撤退ドミノ」に追い込まれる可能性が高いのか。日本が掲げる「脱炭素と経済成長」を両立させる切り札だった洋上風力が再生する道はあるのか。欧州などとの比較から日本の制度再構築の課題と復活に向けた”4つのカギ”を解説する。

三菱商事による国内3海域の洋上風力発電事業からの撤退で、草創期にある日本の洋上風力産業は消滅の危機にひんしている。現在の入札制度のままでは、三菱商事が3海域を“総取り”した政府公募のコンペ第1弾(第1ラウンド)に続き、後続計画まで撤退ドミノに陥る危険性もある。三菱商事と政府の責任を指摘した上で、制度自体の問題がどこにあったのかを探っていく。深刻な危機を乗り越えるには、現実的にどのような対策が必要なのか。
