石原哲夫
2025年の世界経済は、米関税引き上げという大きな貿易ショックに見舞われながらも、過剰流動性と信用環境の改善に支えられて景気後退を回避した。株高と資源高を支えたこの資金環境は、なお26年の後半まで続く公算が大きい。ただ、インフレ再燃やドル反発、中国資金の還流などをきっかけに、26年末から27年初にかけて潮目が変わる可能性がある。

鉄道、電化、ITバブル――技術革新は成長を生む一方で、資本市場の熱狂を招き過剰投資と株価の急落を招いてきた。歴史を踏まえ、AIブームの持続性とリスクを検証する。普及のS字カーブ、価格下落、デット増、投資減速に先行する株価ピーク、崩壊後の景気悪化という五つの教訓から、転換点は近いと読む。

UAW(全米自動車労働組合)のショーン・フェイン会長は史上初の直接投票で当選したばかり。「ハリケーン・フェイン」とも言われる強硬姿勢でビッグ3との労使交渉に臨み、3社と仮合意した。その合意はEV市場、米経済、そして2024年の大統領選挙にまで影響を与えそうだ。

バイデン次期米大統領は、「経済格差の是正」を目指す。ただ、その実現に必要な税制変更などは議会の承認が必要だ。民主党は下院では多数を維持するものの、上院では多数を確保できない見通しだ。民主党内の左派の存在や保守派が多数を占める連邦裁判所も実現への障害となる。議会の承認を経ることなく行使できる大統領令などを通じて、政策の実現を目指すことになるが、その道のりは平たんなものではない。

米国は、コロナショックに対し金融・財政政策面であらゆる手段を講じ、株式、社債市場は「必要な調整」をしているものの、落ち着きを取り戻した。ただ、足元の雇用、消費は悪化し続けており、20年のマイナス成長は不可避。新型コロナウイルスと共存しつつ進める経済活動再開のペースが鍵を握る。
