トランプ関税から世界を救った「グローバル過剰流動性」、26年後半から27年初には縮小の可能性Photo:PIXTA

2025年の世界経済は、米関税引き上げという大きな貿易ショックに見舞われながらも、過剰流動性と信用環境の改善に支えられて景気後退を回避した。株高と資源高を支えたこの資金環境は、なお26年の後半まで続く公算が大きい。ただ、インフレ再燃やドル反発、中国資金の還流などをきっかけに、26年末から27年初にかけて潮目が変わる可能性がある。(BCAリサーチ米国外先進国チーフストラテジスト 構成/同社日本顧問 石原哲夫)

トランプ関税ショックを吸収し
世界景気を支えた過剰流動性

 2025年の世界経済は、米国の関税引き上げという大規模な貿易ショックに直面しながらも、景気後退を回避した。ドイツやスウェーデンといった貿易依存度の高い国々でさえ成長を取り戻し、世界株式は2割超上昇し、金・銀・銅は史上最高値を更新した。

 こうした底堅さの背景には、グローバル過剰流動性と信用環境の改善がある。だが26年末から27年初にかけて、現在の緩和的な流動性環境は大きく転換点を迎える可能性が高そうだ。

 25年のグローバル過剰流動性の改善は、まずマネーサプライ(M2、現金+当座預金+普通預金+定期預金+譲渡性預金)の再加速に表れた。中国を除く世界の25年12月のマネーサプライは年率4%増と、22年10月以来の強い伸びを記録した。

 インフレ率が当時より6%ポイント程度低い水準にあるため、実質マネー供給も力強く増加した。新興国(中国除く)でもM1(現金+当座預金+普通預金)マネーサプライの伸びが加速し、先進国だけでなく広範な地域で過剰流動性が拡大した。

 次ページでは、25年の過剰流動性の拡大を要素別、地域別に検証していく。