
個人投資家目線で「本当にいい投資信託」を選ぶというコンセプトのもと、2023年から始まったザイの「投信グランプリ」。今年で3回目を迎える投信グランプリは、前回に引き続き、新NISAで買える投資信託に対象を絞り込み、最優秀・優秀賞を発表。その「完全な実力主義」による評価の基準について解説しよう。
“運用会社が売りたい投資信託”かどうかや
“知名度が高い”かは評価に影響しない!
3回目を迎える今年の「投信グランプリ」は、前回と同様に対象を新NISAで買える投資信託に限定し、「NISA投信グランプリ」として優秀な投資信託を発表する。
ザイの「NISA投信グランプリ」は、成績の数値のみを基とした完全な“実力主義”で評価する。知名度や注目度、ましてや運用会社が”売りたい”投資信託かどうかは評価に影響しない。
まずはベースとなる基準について。ベースの基準の1つ目として「みんなが買っている分野に限定」した。投資初心者が悩まないように、「高配当」「割安」「成長」などと運用スタイル別には細分化せず、投資先別の6部門で表彰。買っている人が多く、運用内容によって成績に大きな差が出やすい株式型の投資信託を中心に選定している。
ベースの基準2つ目として「規模が小さすぎる投資信託を除外」した。投資信託は規模が小さすぎると途中で運用をストップする場合がある(繰上償還)。こういった投資信託を選ばないため、純資産10億円以上の投資信託に限定している。また、新NISA対象の投資信託は、償還までに20年以上の期間があることが条件に含まれている。
ベースの基準3つ目は「5年以上の運用実績がある」こと。短期の成績だけでは、本当の実力を測ることはできない。相場環境などの一時的な要因に左右された結果になりやすいからだ。したがって5年以上の運用実績があることが条件だ。成績は「5年」「3年」「1年」の3つの期間で評価する。
なお、運用期間が5年未満の投資信託については、3年と1年の期間で評価した「フレッシャー賞」として表彰。また、人気があるにもかかわらず、成績が振るわない投資信託については、今後に期待する意味を込めて「もっとがんばりま賞」として紹介する。
選定基準(1):どれだけ上がったか(300点満点)
短期・中期・長期で評価! 指数に勝てない投資信託は除外

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上記のベースとなる基準にしたがって投資信託を絞り込んだ上で、「3つの基準」の合計点で評価している。
1つ目の基準は「基準価額がどれだけ上がったか」。ザイのNISA投信グランプリで最も重点を置いているのがこの基準だ。
投資信託の成績は、なるべく長期で見るのが基本。1年だけだと“たまたま良かった”可能性があるからだ。一方で、短期・中期の成績も軽視できない。短期の低迷が続けば、いずれ長期の成績も悪化する。したがって、「5年」「3年」「1年」の3つの期間の上昇率で評価する。各期間の成績をそれぞれの部門内で順位付けし、100点満点で点数化。100点なら成績トップ、0点なら最下位だ。
選定基準(1)は、その合計点(300点満点)としている。つまり、短期・中期・長期のすべてで好成績を上げた投資信託が高得点となる。ただし、基準価額が上がっていても、TOPIXなどの指数に負けていたら好成績とはいえない。指数を下回るなら、低コストのインデックス投資信託を買うほうがいいということになるからだ。よって5年の成績で各部門の代表的な指数を下回っている投資信託は、表彰の対象外とした。
ちなみに「分配金」を出す投資信託は、出した分配金の分、基準価額が下がる。そのためすべての投資信託を「分配金再投資の基準価額」の騰落率で評価している。