コンビニエンスストアにライバルが登場した。業務用スーパーや外食店などを展開する神戸物産が10月28日に出した新業態「Green's K(グリーンズK)」だ。
中食と食品物販の融合店で、店内調理した約50種類の惣菜とナショナルブランド(NB)商品約150種類を販売する。「100グラム100円」に価格設定された惣菜は290円でご飯とともに専用容器に好きなだけ詰め、自分好みの弁当にして持ち帰ることもできる。
店内調理弁当は、コンビニが今、注力している商品だ。“出来たて”という新しい付加価値で消費者のニーズをつかみ取るべく、セブン-イレブン・ジャパンが先行実施、ローソンが実験をしている。コンビニの弁当の売り上げはピーク時に比べて下落傾向にあるが、「弁当は高粗利なので建て直しが必要」(業界関係者)なのだ。
しかし、店内調理をしないことを前提に作られたコンビニの店舗は、厨房を抱えられないなど、建物の構造からして課題がある。店内のフライヤー(揚げ物の調理機器)を使用するにしても、調理する際にかかる人件費分のコスト増やオペレーションの複雑化など、難題は多い。
「単に食品を加工して中食を作るという発想にいる限り、店内調理はできない」(岡崎裕輔取締役)。神戸物産は、店内調理食品の販売体制を“パーツアッセンブル”(パーツの組み立て)の手法を用いて実現している。
惣菜をパーツに分け、それぞれを国内外約15の自社工場や200以上の協力工場で大量生産し、利益率約50%を確保。パーツごとに適した温度帯で保存し、店舗では工場で必要量に詰め分けたパーツを組み合わせて、さまざまな惣菜に調理する。
強みは店内調理食品だけではない。NB商品は、スケールメリットのきく大量少品種の商品構成で原価を抑えた業務用スーパーと仕入れを一括するなどし、多くをコンビニより2~5割程度安く売る。
1号店の亀戸店の売り上げは、1日30万円の計画の1.5倍を優に超えている。コンビニの平均日販はセブンで60万円強だが、グリーンズKの売り場面積は約20坪と小さく(セブンの平均売り場面積は約35坪)、営業時間も朝11時から夜9時までと短いため、かなりの健闘といえる。来年末には最低でも100店は出店したい考え。「食卓代行業になる」(沼田昭二社長)という神戸物産の野望は大きい。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)