三菱商事の共通ポイントカード「Ponta(ポンタ)」が満を持してサービスを開始した。
ポンタは、ツタヤを中心に3400万人の会員数を誇る最大勢力「Tカード」の対抗軸と目されるが、ポンタ陣営は「Tカードとは似て非なるもの」と違いを強調し、成功に自信を見せる。
そもそも、国内には自前でポイントサービスを持つ企業が多く、大小のポイントカードが氾濫しているが、海外では事情が異なる。
三菱商事の100%子会社で、ポンタを運営するロイヤリティマーケティング(LM)の長谷川剛社長は「欧州では、国民の半分前後が保有する英国の『ネクター』のように、共通カードの運営に専念する企業がある」と指摘する。
じつはポンタの立ち上げに当たり、三菱商事は当初、こうした欧州勢との共同出資を模索していた。実現はしなかったが、ポンタは彼らのビジネスモデルが雛形となっているのだ。Tカードのサービスは、参加企業の1社であるツタヤの運営会社、カルチュア・コンビニエンス・クラブが担っている。対するLMは事業を行わず、管理・運営業務に特化。長谷川社長は「黒子に徹することで、中立性を高め、幅広い企業に参加しやすい環境をつくっていく」と力を込める。
ローソン、ゲオなど17社の参加が決まっており、新たに日本通運も加入する。今後も1業種1社に限定せず、地方の有力スーパーなどにも参加を呼びかける。3年後に3500万人の会員を見込む。
強制適用が検討されている国際会計基準(IFRS)が、勢力拡大の鍵となる。IFRSでは、発行ポイントぶんの金額をいったん全額負債計上しなければならず、負担の少ない共通カードへの相乗りが進むと見られる。
先行者利益がある最大手のTカードは提携先を流通業から消費財メーカーに広げて対抗する構え。ポンタの成功は、顧客情報のマーケティング活用などで、いかに魅力的なプラットフォームを提携企業に提供できるかにかかっている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)