「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#15は、食料品74社の業種別ランキングをお届けする。12位に伊藤園、7位にサントリー食品インターナショナルがランクインした。1位はどこか?(ダイヤモンド編集部 澤 俊太郎)
緑茶の伊藤園、清涼飲料のサントリー
食料品74社の「最強」オーナー企業は
「お~いお茶」のフレーズでおなじみの伊藤園は、本庄家のオーナー企業だ。
1964年に本庄正則氏が家庭用品の販売会社、日本ファミリーサービスを創業。茶葉商品に注力するため、66年にフロンティア製茶を設立し、69年に社名を伊藤園に変更した。
85年に世界初となる缶入り緑茶の販売を始め、89年には当時CMで使われていた「お~いお茶」というフレーズを商品名に取り入れ、消費者に定着させた。
本庄氏と共に伊藤園を立ち上げた実弟の八郎氏が、88年から2代目社長を務め、2009年からは本庄氏の長男、大介氏が社長に就任している。
食料品業界のオーナー企業でいえば、サントリーホールディングス(HD)の子会社であるサントリー食品インターナショナルも売上高が1兆5000億円を超え、大きな存在感を示している。
創業者である鳥井信治郎氏が1899年に開業した「鳥井商店」に始まるサントリーグループは、ぶどう酒の製造販売を皮切りに日本における洋酒文化の礎を築いた。
サントリー食品は2009年に飲料や食品事業を中核に設立され、現在はグループの売上高のうち半分以上を占める中核企業だ。サントリー前社長の鳥井信一郎氏の長男、鳥井信宏氏(現サントリーHD副社長)も同社の2代目社長を務めた。
では、食料品の最強の「オーナー企業」は一体どこか。ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。
ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。
下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫特任教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。
次ページでは、オーナー企業のうち食料品74社の業種別ランキングを一挙に公開する。実は、1兆5000億円超の売上高を誇るサントリー食品は7位にとどまっている。トップ5はどこか。