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「政治家による恣意的な人事は官僚を“政治化”させる。
公務員制度改革の前に政治主導の姿を明確にすべきだ」

―― 元一橋大学経済研究所准教授・田中秀明氏インタビュー

2010年9月1日
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民主党政権が「官僚主導」から「政治主導」への変革を目指すなか、重要な論点の1つである「公務員制度改革」が足踏み状態だ。民主党は「天下りの禁止」「公務員の人件費2割削減」といった改革をマニフェストに掲げてはいるが、果たしてそれで“真の政治主導”の実現につながるのか。海外の公務員制度について詳しい元一橋大学経済研究所准教授の田中秀明氏に、日本の公務員制度改革が進まない理由と民主党の進める改革の問題点について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

「政治主導、公務員の役割とはなにか」
基本的な哲学が明確になっていない

――公務員制度改革がなかなか進展しない。なぜ、改革が難航しているのだろうか。

たなか・ひであき/1960年東京生まれ。85年東京工業大学大学院修了(工学修士)後、旧大蔵省(現財務省)入省。1991年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修了。外務省、内閣官房等を経て、2007年から2010年まで一橋大学経済研究所准教授。専門は、公共政策・マネジメント、予算・会計制度、社会保障政策。

 公務員制度改革が進展しない背景として、そもそも「政治主導」とは何か、何を目指しているのかが明確になっていないことが挙げられる。公務員制度改革とは、公務員の役割を再定義することであり、それは政治家の役割を考えることでもある。公務員制度改革が難しいのは、それが政治改革と表裏の関係にあるからだ。

 これまで、しばしば、「官僚主導」が批判されてきたが、それは、官僚がなんでも主導してきたというものではなく、官僚と与党の族議員たちが連携して意思決定を行っていたことである。その結果、本来意思決定の中心にあるべき内閣が空洞化していたのである。公務員は、本来その大臣や首相に忠誠を誓うべきであるが、与野党議員と濃密に接触し、利害調整を行っていた。また、自らの利害を持ち、組織防衛的な行動もしばしばであった。簡単にいえば、官僚が「政治化」していたといえる。

 こうした状況を改革すべく、民主党は「政府与党一元化」をマニフェストに掲げた。これは正しい方向であり、賛成している。ただし、現実には、一元化はまだ途上にあると思う。政策や予算に関して、与党やバックベンチャーの意見を聞くことはよいが、最終的な意思決定は、各省大臣、あるいは首相を中心とする内閣が行うべきである。しかし、現実には、必ずしもそうなっていないようである。

 政治主導といっても、大臣たちが全てを検討し、決定するというものでもない。イギリスなどの政策立案過程では、論点を整理し、様々なコンサルテーションを行っており、その透明性は高い。政治主導は一晩でできるものではないが、明確な哲学と方針を持って努力する必要がある。

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