電気自動車(EV)の開発熱が高まる中、その先駆的存在の一つである慶応大学のスーパーEV「エリーカ」に業界関係者の注目が集まっている。エリーカといえば、これまでは8つの車輪をもつ全長5メートル超の巨体とその爆発的な加速力で有名だったが、最近になって何と公共バス化計画が浮上してきた。
(ジャーナリスト 桃田健史)

慶応義塾大学の清水浩教授らが開発した電気自動車「エリーカ」は、全長5100mmx全幅1900mmx全高1365mm、ホイールベース2900mm、車両重量2400kgの巨体ながら、0-100km/h加速3.9秒という驚異的な加速力を誇る。

 「では次に…、ストップ&ゴーでイキます」。

 簡易的周回テストコースの2周目、「エリーカ」のステアリングホイールを握るその慶応大学関係者は、助手席の筆者をチラリと見た。彼の口元には「記者さん、驚きなさんなよ」と言わんばかりの微かな笑みが読み取れた。彼は私のバックグランドを知らない。

 次の瞬間、全長5100mmx全幅1900mmx全高1365mm、ホイールベース2900mm、車両重量2400kgの巨体が、グギュギュィシャァーン! 

 スーパー電気自動車(EV)のエリーカは、新興高層マンション郡が見下ろすなか、JR貨物線に沿った200mほどの直線路を一気に駆け抜けた。終速は90km/h強。加速開始時のトラクション(路面とタイヤの接地頻度)より、加速の途中から「青天井で、さらにさらにさらにと、伸び上がっていく感じ」の方が印象に残る。エリーカのスペック表値0-100km/h加速3.9秒に「ウソはない」と思った。ちなみに、日産「GT-R」(現行車両/通称35GT-R)は車両重量1750kgで同値は3.6秒である。

 エリーカのスペック表値・最高速度370km/hについては、筆者が過去に米インディカー参戦で体験した380km/h、さらには中国・上海空港で乗った「上海磁浮列車/リニアモーターカー」の最高速度430km/hを思い起こせば、「エリーカにウソはないのでは?」と推測できた。