不況が止まらない。押しつぶされそうなほど重苦しい不況感に、X'mas気分どころではないという人も多いだろう。これだけ不況だと企業も社会貢献なんて呑気なことは言っていられない。多くの人はそう考えるだろう。実際、今年の春くらいから企業のCSR予算は大幅に削減されているし、来期予算ではさらに削られるだろう。

 しかし、だからといって企業の社会貢献意欲が減退しているかというとそうではなく、世の中全体で見ればむしろ高まっている。ビックリした読者も多いかもしれないが、今回は、不況が深刻化すればするほど社会貢献への関心は高まるというお話。

不況にもかかわらず、
チャリティに群がる企業たち

 「不況だからこそ社会貢献」――。この一見すると逆説的に見える現象が実際に起こっている。筆者の元にも、社会貢献活動をしたいという企業からの相談が増えているし、筆者がサポーターを務める教育支援NGO「ルーム・トゥ・リード」(RTR)にも、何らかのカタチで支援したいという企業が激増している。それも、外資系のグローバル企業から地方の小さな会社まで、業種・規模・地域を問わず増えている。業績悪化に悩む一方で、自分たちの会社が社会に対して何ができるのかを真剣に考える企業が意外と多いのだ。最近ではこんな事例もある。

 中間支援団体のNPO法人チャリティ・プラットフォームは12月1日から、「SayLove」というチャリティ・キャンペーンを開始した。これは、複数のNPO・NGOと企業が連合して大きなキャンペーンを実施するというもので、今年で2回目となる。今回は子ども支援をテーマとして、「子どもの笑顔100万個プロジェクト」のために寄付集めを行なう。

「SayLove」
今年で2回目となるチャリティ・キャンペーン「SayLove」。今年のテーマは、子ども支援。「子どもの笑顔100万個プロジェクト」と称し、寄付集めを行なう。

 このプロジェクトに参加している支援対象となるNPOは、病児保育の「フローレンス」、18歳以下の子どもを対象とした電話相談の「チャイルドライン支援センター」、高校生対象にキャリア教育プログラムを実施する「カタリバ」、紛争や自然災害の被害者に対する緊急人道支援を行なう「ピースウィンズ・ジャパン」の4団体。

 注目すべきは「SayLove」に参加した支援する側の企業数だ。昨年の6社から、今年は33社に激増。対前年比、実に550%。驚異的な伸び率である。

「不況」だからこそ社会貢献。「連合型チャリティキャンペーン」に企業が群がるワケ
「SayLove」キャンペーンに参加する企業の商品やパンフレットの一部。アパレルから食品メーカー、学習塾まで、参加企業は幅広い。

単なるCSRから、企業理念の具現化
という理由で参加する企業が増加

 参加企業は、「Soup Stock Tokyo」「ロッテリア」などの飲食企業、「イデアインターナショナル」「ファッションファクトリー」など衣料・グッズ・コスメなどのオシャレ系メーカー、カニやうに・いくらを販売する水産物店や醤油メーカーなど多種多彩。企業規模もさまざまだ。創業1884年という老舗もあれば、起業して1~2年の新興企業もある。