「尖閣ビデオ」の流出がさまざまな方面で波紋を起こしている。メディアは7日から横浜で行われているAPECへの影響を懸念しているが、日本のスポーツ界にも緊張が走っている。12日から27日まで中国・広州でアジア競技大会が行われるのだ。
件のビデオを見れば、中国漁船側に非があるのは明らかだが、ネットで公開されたことで中国では改めて反日感情が渦巻き始めた。その直後に日本選手団は中国入りし競技をするのである。国際大会を無事に開催するのはホスト国の務め。中国政府も厳重な警備体制を敷くだろう。だが、45もの競技が行われる会場すべてを完璧に警備するのは難しい。
尖閣諸島の領有問題がクローズアップされた後の10月、中国・山東省で行われたサッカーU19アジア選手権では、練習に向う日本代表選手にペットボトルが投げつけられたり、試合前に観客のひとりが乱入し日の丸を奪う出来事があった。選手の身に危害が及ぶ事件こそ起こってはいないものの、安全面が心配になる。
また、アクシデントが起こらなかったとしても競技に日本選手が出てくれば、ブーイングが起こるだろう。とくに日本と中国が対戦するケースでは不穏な空気が漂うにちがいない。完全にアウェーの環境下で日本の選手たちは競技することを強いられるのだ。
今大会に臨む日本選手団は役員を含めて1078人にも及ぶ。これは史上最多だ。
日本スポーツ界がオリンピックと
ほぼ同等の意気込みで臨む大会
オリンピックに比べると注目度は低いが、アジア競技大会は4年に1度行われるアジアナンバー1を決める大会。日本スポーツ界はオリンピックとほぼ同等の意気込みで大会に臨む。選手にとっても重要な大会だ。選手は厳しい選手選考を経て選ばれた日本のトップアスリートばかりだが、アジアナンバー1の称号を手に入れたいという思いがある。また、オリンピックの中間年に行われることから2年後に向けて、ベテランは現在の競技力を見据える機会として、若手はステップアップにつなげる場として全力で戦う。