それでも、約8万人近い待機児童の解消には道遠しだ。その代表が東京都世田谷区。この4月に1198人という過去最多の待機児童数を発表、全国一の座は揺るぎそうもない。同区は今年度に38保育園を新設し2211人を受け入れる大計画を描くが、住民の抵抗が強く既存制度での実現は難しそうだ。

 同区の待機児増の主因は、企業参入を長期間拒んできたことにある。同じ都内でも、東京都の独自制度の認証保育所などを含めて中野区や大田区は企業参入に積極的だったが、世田谷区は「企業は保育事業になじまない」との考えに固執。そのしっぺ返しを今受けている。

 かつて、待機児童数の日本一をずっと続けてきた横浜市が「ゼロ宣言」を発表して話題を集めた。その対策がいろいろあげられたが、最大の要因は企業への門戸開放にあった。

 企業主導型保育事業に対して社会福祉法人系の保育事業者からの反発は大きい。全国保育団体連合会は3月に「国が各地の事業所内保育それぞれについて、指導・監督を含めた責任を負うことができるのでしょうか」「保育の質が低下する」と、反対声明を出した。

 一方、保育専業企業からは「一流企業の看板でも、人手不足の中で保育士を集められるとは思えない」「東京の認可園は、都からの多額な助成金で支えられており、それがないと収支を採れるか疑問」と冷めた声が聞かれる。

 だが、現状の事業所内や病院内保育所でも直営でなくこうした保育専業者への委託方式が広がっており、企業主導型保育事業も同様の展開になる可能性は高い。本格的なサービス業として歩み出す第一歩と言えるだろう。