冒頭でプラグインハイブリッドカーを“第3のEV”と書いたが、実はプラグインハイブリッドカー自体は別に目新しい技術ではなく、以前から存在した。トヨタは今から4年以上前の2012年1月に、旧型(3代目)プリウスをベースとしたプリウスPHVを一般発売。1年後の2013年1月には三菱自動車がSUVのプラグインハイブリッドカー「アウトランダーPHEV」を市場投入した。ホンダもリース販売限定ながら「アコードPHEV」をリリースしている。

第1世代のプラグインで唯一の成功
EV走行距離で売れたアウトランダー

 第1世代プラグインハイブリッドカー3モデルのなかで唯一、成功を収められたのは、意外なことに燃費性能で最も劣るアウトランダーPHEVだった。トヨタ関係者は当初、「プリウスPHVを月3000台は売りたい」と息巻いていたが、販売実績はそれに遠く及ばず低迷。ホンダは限定400台というささやかな台数を売り切ることができなかった。

 アウトランダーPHEVだけが売れた理由はいくつかあるが、最大のファクターはEV走行の航続距離にある。SUVの大きな車体を生かしてバッテリーを大量に積み、JC08モードにおけるEV走行距離は60kmに達していた。おまけに急速充電器にも対応。ライバル2車がEVとしても使えるハイブリッドであったのに対し、アウトランダーPHEVはハイブリッドとしても使えるEVという性格だったのだ。

 トヨタ、ホンダ両社のエンジニアから「アウトランダーPHEVなんてエンジンの効率も良くないし、単に大容量バッテリー搭載という力技でEVっぽくしただけじゃないか。効率はウチのほうがずっといい」と嫉妬まじりのセリフを聞かされた。

 しかし、それはサッカーの上手い高校生がモテモテになっているのを見てクラスメイトのガリ勉くんが「数学は俺のほうができるのに」と叫ぶのと同じくらい意味がない。プラグインハイブリッドカーに飛びつく顧客はハイブリッドではなく、本当はEVが欲しいという層だったのだ。

 トヨタが新型プリウスPHVに、従来に比べて大幅にEV寄りの性格を与えたのは、この苦い敗北から得られた知見を生かしてのことである。仮に実航続距離が50kmとした場合、平均車速25km/h換算で2時間のEVドライブをこなせるのだ。同様にホンダも今後投入を予定しているプラグインハイブリッドモデルについて、EV的性格を大幅に強めてくるとみられる。