11月2日、国外では最大の日本酒イベントが日本に初上陸し、東京・五反田で開催された。

 SAKEを愛してやまない米国人によるNPO法人ジョイ・オブ・サケの設立10周年を記念しての企画である。

 同イベントは2001年にホノルルでスタート。以来10年間、ホノルル、サンフランシスコ、ニューヨークの全米3都市で毎年開催され、それぞれ1000人を超える入場者で賑いをみせているという。

「鑑評」を「歓評」と当てる
米国式の機知と本気度

他の日本酒イベントと比較すると、外国人客と女性客の比率がとみに高かったように推察される「ジョイ・オブ・サケ」。総入場者数もおよそ1200人と盛況だった。

 といっても、「お祭りドンチャン! 酒持って来い!!」的な軽いノリで始まったイベントではない。

 ハワイの日本酒愛好家たちが1987年に結成した任意団体「国際酒会」が、良質の日本酒を楽しむための一助として立ち上げた全米日本酒歓評会(「鑑評」でなく「歓評」としているのが米国らしい)による審査会が主体であり、その結果をあまねくオープンにする意味合いで設けた一般公開利き酒パーティが「ジョイ・オブ・サケ」というわけである。

 審査は、香り・味・バランス・総合評価の4つの項目で、純米酒・吟醸酒・大吟醸A(精米歩合40%以下)・大吟醸B(精米歩合50%以下)のカテゴリーごとに行なわれる。

 2010年の歓評会は8月17日・18日にホノルルで開催され、164の蔵元から総計392銘柄の酒が出品された。審査員にはプロのワインテイスターを含む日米各5人計10人の専門家が名を連ね、(日本で唯一の酒に関する国の研究機関である)独立行政法人酒類総合研究所の指導の下に、銘柄を隠した「目隠し」で審査される。

 しかも、出品酒全体を対象とする第一次審査の後、そのなかから高得点をつけた上位約50%を対象に第二次審査が行なわれ、ポイントの多寡によって金賞・銀賞が授与される(もちろん選外もある)という、きわめて厳正な品評会なのだ。