「あの時の君は鬼気迫るものがあったよね」

 克彦さんは冗談っぽく笑うが、実は相当引いていたはずだ。

 有希子さんも、疲れとむくみがくっきりとあらわれた新婚旅行時の自分の写真は、正直あまり見たくない。

少女の頃から「むくみちゃん」と呼ばれ
「誰にも姿を見られたくない」と思った

 「むくみ」は、有希子さんにとって10代の頃からの悩みだ。

 生理中は特に大変で、顔も脚も膨張し、体重が3キロ増しになる。まぶたが腫れぼったくなり、口の中も膨らんでいるのか、頻繁に頬の内側を噛んだ。目立つのが顔と脚だというだけで、実際は全体が水膨れしているのだろう、全身がとにかく不快で、月1回の憂鬱な期間はいつも、「誰にも姿を見られたくない」と思って過ごしてきた。

 社会人になると、疲れと運動不足からか、さらに悪化。特に夏場はきつかった。

 電車内やオフィスでの、過剰な冷房が原因だった。冷やしたくないのと、パンパンになった脚を人に見せたくないとの理由で、出勤の定番はパンツスタイル。身体を温める飲み物や、厚手の靴下にひざかけ着用で対抗したが、出勤時には普通に履けたストラップタイプのサンダルが、退社時には無理に引っ張らないと履けなくなる。やっと履けても、甲の肉にストラップが喰いこんだ様子は中途半端なボンレスハムのようで泣けた。

 ひどいむくみの陰には、深刻な病気が潜んでいるかもしれない。女性の先輩に勧められ、評判のいいレディースクリニックを受診したが、念入りな問診とさまざまな検査の結果は「特に心配なし」。

 漢方薬と生活指導を受け、しばらく通院もしてみたが、残念ながらあまり効果があったという実感がないまま、いつしか足が遠のいた。

女性の97%が日常的にむくんでいる
原因は血液の循環と深く関わる

 むくみは冷え症、便秘と並び、「女性の3大悩み」の一つと言われている(他にも貧血、頭痛等ある)。

 別名「浮腫」ともいい、皮膚の下に水分がたまった状態だ。デスクワークで座りっぱなしの時など、脚に鈍い痛みや動かしにくさを感じたら、むくんでいると思って間違いない。見た目もぼんやり膨らんで見えるので、指で強く押してみよう。痕がすぐに戻らなければむくんでいる証拠だ。

 ある医療品メーカーが実施した脚のむくみに関するアンケートでは、「日常的にむくみを感じている」と答えた女性の割合が、97%に達していた。

 そのメカニズムは、血液の循環と深く関わっている。

 心臓の拍動によって体内を循環する血液は、動脈を通して水分や栄養分を細胞へ供給する役目を果たすのと同時に、細胞内で不要となった水分が、静脈やリンパ管に戻ってきて再び体内を循環して行く。