日本の外国人労働者政策は「上から目線」でいいのか外国人労働者の受け入れ政策、日本は諸外国に後れを取っていると言わざるを得ません

 日本経済を再生するには、金融緩和でデフレ脱却を目指し、財政出動で短期的な経済成長率を高めるだけでなく、長期的な成長力を示す潜在成長率を高める必要があります。潜在成長率が0.2%(内閣府推計)にまで低下したことを考えるとなおさらです。その潜在成長率を高めるに当たって、労働人口を増やす、経済の生産性を高めるという2つの観点から重要な課題が、日本で働く外国人労働者の数を増やしていくことです。

 8月28日(日)の日経新聞が、この課題についての政府の取り組みを一面で大きく報道していたので、それを元に、政府の取り組みはどう評価できるかを考えてみたいと思います。

世界の「高度外国人材の奪い合い」に
日本が全く追いついていない現実

 この日経の記事では、概要以下のように報道されていました。

・神奈川、大阪に次いで東京が、国家戦略特区の枠組みを活用して外国人による家事代行サービス(=外国人の家政婦さん)を解禁する。(家政婦を雇うくらい収入が多い)外国人の高度人材を増やす効果があるだろう。

・東京は、都内に進出する外資系金融機関への規制緩和も国に要望する。また、横浜市は、住宅容積率の緩和により外国人の居住環境を整える。

 この記事を一読すると、政府は外国人労働者の受け入れの拡大に向けて頑張っているように見えますが、現実はその正反対で、政府の取り組みがいかに不十分かを明らかにしてくれています。

 そもそも外国人労働者は2種類に分けて考える必要があります。工場やサービス業などで普通の労働を行う“単純労働者”と、付加価値の高い仕事や起業を行う“高度人材”です。前者を増やすことは労働人口を増やす観点から、そして後者を増やすことは経済の生産性を高める観点から重要となります。

 この分類から分かるように、日経の記事は外国人労働者のうち高度人材の増加に向けた政府の取り組みについて説明しているのですが、記事を読むと明らかなように、それを頑張っているのは地方自治体ばかりであり、かつその内容も環境整備的な取り組みばかりになっています。