齊藤氏によれば、厚労省の引きこもりの推計は、日本でできる精一杯の疫学調査で行った結果が25万5000世帯だったと強調する。

「この推計は世帯数ですから、人数は最低でも25万5000人以上になります。しかも、お宅にいらっしゃいますか?と聞かれて、いませんと答えた回答者もいたでしょうから、人数はもう少し増えるでしょう。でも、10倍にも5倍にもならないのではないでしょうか」

 このように、内閣府の調査結果を受け、2月のシンポジウムで発表したときよりも、若干修正、補足するような形で、かなりわかりやすく丁寧に説明するシーンがたびたび見られた。

 そして、内閣府の調査で「ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」などと答えた約23万6000人の「狭義の引きこもり」が、「我々が支援を緊急に必要としている」25万5000人以上の数と符合するのではないかと付けくわえた。

 一方で、「自分の趣味の用事のときだけ外出できる」と答えた約46万人の“準引きこもり”については、「我々はメンタルヘルスの立場から、あまり考えなかった」と説明。

「気持ちがわかる」などの項目にはいと答えた親和性のある155万人の“予備軍”については、「あまり信じないほうがいいのではないでしょうか。その気持ちがわかるという項目に○を付けた結果として出てきた。その気持ちがわかると答えた人たちから、引きこもりが出やすいというエビデンスはまったくありません。すべての項目にありませんと回答した人のほうが、もしかしたら危ないかもしれない」と、牽制してみせた。

引きこもりと親和性の高い
パーソナリティの特徴

 さらに、≪引きこもりはメンタルヘルスの問題である≫と記した点についても、「DSM-ⅣやICD-10に含まれるすべての障害概念のどれかが当てはまる可能性を指摘した。精神障害の診断が付いたケースは、精神科が診療するのがベストであるとは限りません。つまり、精神障害としてのある種の特性を持っている人が、すべて精神科で治療できるほど、精神科の能力と一般性は高くない」などと柔軟に解説した。