IoTを活用して新たな需要を
生み出す製品づくりを

――日本のエレクトロニクス企業は、ネットにつながるさまざまなデバイスを介したサービスを提供してきましたが、これからのIoT時代には「オープンなIoT」に向かうべきということですね。

 そうです。現在、最大の問題は、A社ならA社の機器にしか対応しておらず、B社の同様の機器を持ってきてもつながらないことです。コンピュータを搭載した家電は、冷蔵庫、エアコン、テレビなどたくさんありますが、全部を同じメーカーでそろえる人はいないから意味がありません。

 これらが1つのネットワークにつながれば、帰宅前に全自動で暖房をつけて部屋を暖かくしておき、お風呂も沸かしておいて、帰宅と同時に電気がつくといったことも可能になるわけです。

 米国のウェアラブル・カメラメーカー、「ゴープロ(GoPro)」は、ソーシャルメディアを活用してアクションカメラを大ヒットさせました。ソーシャルメディア上にユーザーが自由に閲覧できるコミュニティサイトを立ち上げ、そこで撮影した動画や画像を紹介できるようにして一気にユーザーの心をつかみました。これがまさしく、オープンなインターフェイスを持つということです。ソーシャルメディア上でこれまでにないような迫力のある動画や画像が話題になっただけでなく、ユーザーから集まる意見や要望を製品開発や改善に生かすことができたというメリットもあったようです。

 このように、オープンなIoTを上手に活用すれば、アイデア次第で新しい需要を生み出すような画期的な製品を開発できる可能性があります。しかし、日本の多くの製造業は自社の技術やノウハウが社外に流出することもありますが、それ以上にオープンにより保証できなくなることを恐れ、とても閉鎖的でした。標準化する仕組みには抵抗があったわけですが、そろそろもっと前向きに考え、オープンなIoTを持つ製品を開発していくことが必要です。

 IoT時代にはシステム的な発想が求められます。フェイスブックもツイッターもウーバーもソフトウェアでビジネスモデルを構築していて、製造はどこもやっていない。だから利益率が非常に高く、創業からわずか5年半のウーバーが100年以上の歴史を誇るGM(ゼネラルモーターズ)を時価評価で追い抜くということが起こるわけです。

 ですが、だからといって、すべての日本の製造企業がこのようなイノベーションを起こすことはできないし、そうすべきとも思いません。部品に強い企業ならそれを極めるという選択もあっていいでしょう。日本の部品メーカーは海外から見ても依然として優秀で、iPhoneの部品の50%近くは日本製です。

 ただし、常に知識と技術を磨いていくことは絶対に必要です。これから世の中がどういう方向に進み、どのようなことが予想されるのか、考えなくなったら危ないでしょう。今、部品を供給している製品がずっとあるとは限らないし、新しい技術やノウハウを持っていなければ、次の仕事を獲得できないからです。また、設備投資が必要な製造業は利益率が低いため、業界内で勝ち抜くためのコストダウンの工夫なども求められます。そういう意味でも、「CEATEC JAPAN」は知見や情報アンテナを磨くいい機会になるはずです。