これが「テュフ」のマーク。製品や試験結果のレポートなどに貼られる「お墨付き」だ

「テュフマーク」をご存じだろうか。ドイツで生まれた工業製品の安全性認証を示すマークで、行政から独立した民間の技術認証機関が発行する。その認証機関の1社である「テュフズード」(TUV SUD)は、150年の歴史を持つ企業。蒸気ボイラーの安全性確保のために創業し、以来数々の工業製品、工場やプラントなどのシステム認証、さらにマネジメント認証を発行している。現在ドイツのミュンヘンに本社を構え、世界800拠点で2万2000人が働く。2014年の売上高は20.6億ユーロに達するグローバル企業である。
テュフ認証を取得している製品は、海外市場で受け入れられやすい。日本企業の要望に応えるため、テュフズード日本法人は東京を中心に国内4拠点を展開、海外進出を目指す企業を支援している。
今年7月に日本の顧客向けに行われた、テュフズード150周年イベントにあわせて来日した、取締役会会長のアクセル・シュテプケン氏に、テュフズードのこれまでと今後の事業展望について聞いた。

IoTは、産業界の4度目の大変革

中央がアクセル・シュテプケン TUV SUD AG 取締役会会長、右はデュレク・シュルシンガー 同社チーフ・デジタル・オフィサー、左はアンドレアス・シュタンゲ テュフズードジャパン代表取締役社長CEO Photo:DIAMOND IT & Business

――テュフズードのような工業製品や産業システムの認証機関にとって、これまでの150年の役割と、IoTの時代であるこれからでは、試験の適用範囲をはじめ、果たすべき役割が大きく変わってくるのではないでしょうか。

アクセル・シュテプケン会長(以下・シュテプケン氏) 機械同士がインターネットというオープンな仕組みで接続されるIoTの普及が、大きな転換期であることは間違いありません。ですが、我々は150年という長い歴史の中で、これまでも数々の変革期を経てきました。今回が特別だという意識はありません。

 過去に大きな変革は3回ありました。まず150年前の創業時は、蒸気ボイラーの登場に対して、その安全性を確保することが当社の使命でした。その後、電気の登場で産業は大きく進歩し、さらにオートメーションが産業界に革命をもたらしました。そしていま第4の革命として、IoTが産業界を変えようとしています。