拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第9回の講義では、前回に続き「技術」に焦点を当て、拙著、『人は、誰もが「多重人格」 − 誰も語らなかった「才能開花の技法」』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

「仕事のできる人」から学ぶべきは
「人格の切り替え」

 今回のテーマは、

紋切り型のメールや電話をやめれば才能は開花する。

 このテーマについて語ろう。

前回、一流のプロフェッショナルは、意識的、無意識的を問わず、自分の中に「様々な人格」を育て、それらを状況や場面に応じて、適切に使い分けるという「多重人格のマネジメント」を身につけているということを述べた。

 では、どうすれば、自分の中に「複数の人格」を育て、それを適切に使い分ける「多重人格のマネジメント」を身につけることができるのか?  その具体的な技法について、日々の業務の中で行える二つの技法を述べよう。

 第一は、「仕事のできる人」が、仕事でどのように「人格」を切り替えているかを、観察するという技法である。

 具体的には、もし、企画プロフェッショナルで「仕事のできる人」から「人格の切り替え」を学ぼうと思うならば、その人が主宰する企画会議などに参加し、その人が「人格」を切り替える瞬間を、注意深く観察することである。

 例えば、発散気味に進んできたアイデア出しの会議を、後半、まとめモードに切り替えるときの「人格の切り替え」などを観察することである。もし、この観察をするならば、その企画プロフェッショナルが、前半で表に出している人格と、後半で表に出す人格が違っていることに気がつくだろう。前回語った、「始め民主主義、終り独裁」の人格切り替えである。

 それ以外にも、「そのアイデア、面白いね」といった激励モードの人格と、「うーん、こんなアイデアしか出ないのか…」という辛口モードの人格の切り替えなど、一流の企画プロフェッショナルを見ていると、実に、色々な人格が出てくることに気がつくだろう。

 このように、企画であっても、営業であっても、「仕事のできる人」と一緒の会議や商談に出て、その人が「人格の切り替え」を行う瞬間を、注意深く観察することである。

 これが、第一の技法であるが、実は、その学びをするためには、「一緒の会議に出る」という以上の技法がある。

 それは、優れたプロフェッショナルの「かばん持ち」をすることである。