懲戒解雇で言論抑圧か

 亀田の経営者2人を被告とする訴状は千葉地方裁判所に受理された。懲戒解雇処分は無効であるとして当初の雇用契約期間に支払われるはずだった未払いの給与と顧問料の相当額を逸失利益として請求。これに慰謝料などを加えた損害賠償請求総額は約1957万円に上る。

 法律上、解雇する場合は1カ月前の予告か1カ月分の手当支払い、あるいは労働基準監督署の解雇予告除外認定を受ける必要がある。これらの要件を満たさずに解雇されたというのが原告側の主張だ。

 もっとも、肝は慰謝料も請求している点にある。懲戒解雇処分をする過程に精神的損害を与えるような言論抑圧があったのか、事実関係を争うことになるからだ。

 この訴訟とは別に、厚労相宛ての文書原案を外部に流したとして、厚生官僚(世界保健機関〈WHO〉に出向中)と千葉県の課長に慰謝料など約25万円を求めて東京地方裁判所に提訴した。公務員が私的に言論を抑圧した点を追及するもので、同件で原告側代理人の井上清成弁護士は「内部情報の通報、情報公開請求を行った人について、みだりに利害関係者に知らせること自体が問題」とする。

 現時点で被告が在籍する亀田、厚労省と千葉県の担当課はいずれも具体的なコメントを控えている。

 果たして権力を持つ者が不法に、医療者および地域の取り組みをつぶしたのか。民事裁判では一般的に原告と被告への尋問が行われる。当事者たちが法廷に引っ張り出されるであろう二つの訴訟は、損害賠償請求額よりはるかに大きな意味を持つ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)