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壊滅的な状況から抜け出せずにいる日本の商品先物市場が、ついに国内のオンライン証券大手にまで見捨てられた──。
世界の商品先物市場は、この5年で約4倍に拡大。にもかかわらず、日本に限ってみれば、出来高は2003年のピーク時に比べて3555万枚(09年)と、約4分の1に縮小するありさまだ。
そんな折、国内の商品先物をいっさい取り扱っていない楽天証券がこの10月、一足飛びに海外先物の取引サービスを開始した。
「商品先物は大損したり詐欺に遭ったりとイメージが悪く、売買したい個人投資家は少ない」(業界関係者)というおおかたの見方に反し、口座開設数がサービス開始からわずか1ヵ月で約3000にまで達したのだ。
それもそのはず。確かに日本の商品先物は株に比べて取引量が少なく、売りたいときに売れない怖さがある。そのため個人投資家は手を出したがらないが、「取引量が多い海外先物はまったくの別モノ」(楠雄治社長)だからだ。
日本の商品先物は証券に比べて税制や制度上の優遇措置がなく、投資家にとって投資対象として魅力に欠ける。そのため政府・与党は目下、証券も含めた「総合的な取引所の創設」を掲げ、商品市場の再活性化を目指してはいる。
だが、これも検討チームが10月に発足したばかり。世界を見渡せば、最大の商品先物市場である中国が今後、海外取引参加者の参入規制をいつ緩めるかわからない。そうなれば、「日本など見向きもされず、二度と復活できなくなる」(商品取引参加者)。オンライン証券も、そうした事態を見越したのかもしれない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池田光史)